良恵と怜央は完全に囲まれた。怜央の呼吸が荒く目が血走っている。
(いけない。これ以上刺激されたら怜央は攻撃を仕掛けるわ)
良恵は怜央を抱きしめ、彼らの姿が怜央の視界に入らないようにした。
良恵?」
「大丈夫よ。落ち着いて」
怜央は良恵の胸の中で軽く頷いた。


「あなた達は誰……私達に何の用なの?」
一人の男が前に出て良恵の前にひざまづいた。予想外の行動に良恵は少し驚いた。
「自分は海軍の兵士で梅宮と申します」
「海軍の?」
良恵は、まさか、と思った。
「はい。上官の命令でずっと良恵様を探していました。良恵様の身の安全は保障しますので、どうかご安心を」
「……その上官って」
良恵は頭が痛くなってきた。恐れていた事が現実になってしまう。


「はい佐伯大尉でいらっしゃいます。大尉はあなたをずっと探しておりました。
自分達は大尉のご命令で良恵様が立ち入りそうな場所、連絡をとりそうな人間、24時間体制で監視してたんです。
さあ参りましょう、大尉がお待ちです」
「……そう」
予感的中。こうなったら大人しく着いていくしかなさそうだ。
晃司や秀明でなかっただけ、ましと思わなくてはいけないだろう。
用意された車の後部座席に腰掛け良恵はこれからも事を考えた。




鎮魂歌二章―20―




良恵、俺達どこに行くの?」
心配そうに顔を覗き込んでくる怜央。良恵自身の身は安全でも怜央はそうではない。
あの徹の事だ、嫉妬から怜央に悪さをしない保障はない。
「徹と話ができないかしら?」
梅宮は「どうぞ」と携帯電話を差し出した。登録番号1は徹だ。
数回の呼び出し音の後、「何だ?」と冷たい声が聞こえた。


「徹、私よ」
良恵!」


途端に冷徹な口調は優しい囁きと変化した。
「心配したんだよ良恵。君にもしもの事があったらと思うと俺は生きた心地がしなかった」
「ごめんなさい。随分探してくれてたのね」
「ああ、そうだよ。俺にこんな思いをさせられるのは世界でただひとり。愛しい君だけさ」
相変わらずのキザな口上。
しかし良恵の事を心底案じていたのは真実らしく、その口調は緊張から解き放たれたものだった。


「徹、私を見つけた事を誰かに言った?」
「いいや、まだだよ」

(良かった。今はまだ私は帰るわけには行かないもの)

「徹、お願いがあるの。私の事は誰にも言わないで」
良恵?」
「秀明や晃司にも」
「秀明や晃司にも?わかったよ、君がそう言うのなら、きっと深い事情があるんだろうから、しばらくは黙ってるよ」
「ありがとう」
これで科学省に怜央の事がばれることはない。とりあえずは。


「君が望むなら俺は何でもしてあげたいと思っている。しばらくは2人きりでいよう」
徹にとっては良恵の申し出は嬉しい誤算だったようだ。
「あの、徹……」
「何だい?そうだな、2人っきりで過ごすのは静かな避暑地がいいかな。君が行きたいなら、どこにでも」
「実はその……」
「俺は君さえいれば贅沢は言わないよ。大丈夫、俺は口が固い男だ。
頼まれても晃司や秀明には何も言わないから安心していいんだよ。君は俺1人で守る。何だったら一生2人きりでも」
「……その、もう1人いるの。私の連れなんだけど、受け入れてくれる?」
「……」
電話の向こうから鋭い殺気を感じ、良恵は内心ぞっとした。














「ど、どうしよう。ねえ、どうしたらいいの?」
知里は今にも泣きそうだった。
「落ち着いて……ねえ聡美、どうする?」
文世は知里を慰める事はできても、この状況を打開する事はできなかった。
しっかり者で冷静な優等生・聡美に頼っている。
「今は観察する事よ。考えてるから静かにしてて……」
しかし頼られている聡美は冷静を装っているものの内心は爆発寸前だった。

(どうするって。あたしだって怖くてどうにかなりそうよ!頼られても困るわ。
どうして、そんなこともわかってくれないのよ!!)

聡美は自分では認めたくなかったが、常に自分を押し殺し優等生でいることに強い重圧を感じていた。
そのストレスは聡美の中で何重にも蓄積され、いつ噴火するともわからない危険性を秘めていたのだ。

(もう嫌よ!どうして、あたしがこんな怖い目にあわなきゃいけないのよ!
あたしが何をしたっていうのよ!誰か助けてよ!!)

日常とはかけ離れた世界。聡美のストッパーとなる親も教師も世間体も何もない場所。
聡美は完全に追いつめられていた。風の音ですら、聡美にとっては今や騒音にしか聞こえない。
いつも面倒をみてやっている知里の存在も重荷以外の何者でもない。


「聡美、こんな所に隠れてるだけじゃ何にもならないよ。ねえ聞いてる?」
文世の声は小さかったが切羽詰まった口調は聡美を責めているようにも聞こえた。
「武器だってないし、こんな所をあの変なのに見つかったら……わかってるの?」

(わかってるわよ!何よ、ひとに頼る前に、まず自分がアイデア出しなさいよ!!)

聡美は怒鳴りたいのを必死に堪えていたが、文世には、その気持ちは通じないようだ。
「聡美、真剣に考えてくれてるの?」
聡美の頭の中でぶちっと何かが切れる音がした。
それは聡美にしか聞こえない音のはずなのに文世がちょっと驚いている。




「ど、どうしたの聡美。怖い顔して……」
「怖い顔?なるわよ、いい加減にしてよ!!」
聡美は大声でわめき散らしていた。
「ちょ、ちょっと聡美、大声だしたら……」
文世はおろおろと聡美を宥め始めた。その表情は今にも泣きそうだ。
文世にあたるのは間違っていると思いながらも聡美は止まらなかった。
「あなた達はひとをあてにし過ぎてるのよ。少しは自分達で何とかし――」
まるで電池が切れたように聡美はストップした。
突然、聡美の怒鳴り声から解放された知里と文世は不思議そうに見上げている。


「あ、ああ……」
聡美は硬直していた。声が出ず指先は震えている。

(ど、どうして、だ、誰か――)

聡美は心の中で悲鳴を上げていた。喉まできているのに声にならない。
「聡美、どうしたの?」
文世が心配そうに尋ねてきたが、そんなものはありがた迷惑だ。

(どうして気づいてくれないのよ!!)

聡美の気持ちを、この2人は全く理解していない。

(あなた達の後ろにいるのよ。あいつらがいるのよ!!)

まだ言葉は出ない。ここにきて、ようやく2人は聡美が自分達をみてない事に気づいたようだ。
そして2人はゆっくりと振り返り、聡美と同じ状態になった。
暗闇の中にキラリと光る眼があった。奴だ!
聡美達が恐怖で動けない事を本能で悟ったのか、奴は勝ち誇ったように吠えた。
それは空気を振動させる程の大音量だった。
「ひっ」
聡美にかかった金縛りが一瞬で解けた。
「ひいぃ!」
聡美は全力疾走していた。途中、小石につまずき転倒仕掛けたが、それでもスピードは衰えない。
恐怖が身体能力を超えたのだ。














(F2一匹か。俺には敵じゃないが、あのガキ達にはきつい相手だな)
その様子はモニターを通じて国防省大広間にいる冬也達に鑑賞されていた。
冬也にとっては出来の悪いパニック映画に過ぎなかったが、周囲の評判は上々。
(本当に悪趣味な連中だぜ)
画面の中では3人の哀れな少女が必死になって逃げている。
反してF2は時々立ち止まっては吠えながら追走している。
(あいつらの足じゃ逃げきれないとわかっていやがる。下等生物の分際で遊んでやがるんだ)
そのF2の様子から見て武器も持たない3人の運命は、ほぼ決定したと言って良かった。
アクシデントでもない限り、F2に遊び半分で殺されるのは目に見えている。
しかしF2は突然辺りをきょろきょろと見渡しだした。
(何だ?)
そして一目散に逃げ去ったのだ。
3人はF2が消えた事にも気づかず、まだ逃走を続けている。

「……あの爬虫類逃げやがった。さっさと戦闘放棄して逃げ出すほどの化け物が近くにいるということか」

冬也の推測を裏付けるように蔦で覆われた怪しい建造物が姿を現した。














「た、助けて!」
聡美は扉に縋り着いた。鍵はかかってなかったらしく扉はその勢いで内側に開き聡美は体勢を崩して床に接触。
知里と文世も同様に転倒し、聡美の上に折り重なった。
「あ、あいつがくる!どいて、早く!」
聡美のヒステリックな声に文世はいち早く反応した。
慌てて起きあがると扉を閉める。しかし鍵などない。
「扉をしめないと!」
ドアノブを両手で固定しながら叫ぶと今度は聡美が素早く反応した。
懐中電灯で屋内を照らしロープのようなものを発見。文世と聡美はそれでドアノブを固定した。
もちろん、こんなもので安全になったと安心できない。


「ま、窓!窓はしまってるの!?」
知里が真っ青な顔を左右に動かした。
「だ、大丈夫。全部しまってる」
「馬鹿!鍵まで確認したの!?」
聡美は荒い呼吸を吐きながら気が狂ったように窓の施錠確認をしだした。
全ての窓が閉まっている事を確認すると今度は凄い勢いでカーテンを引っ張った。
そして、その場にぺたんと座り込んだ。
物音はなるでなく3人は沈黙の中、しばらくお互いの顔を見る事もなく呆然としていた。
やがて落ち着きを少し取り戻した文世は小声で言った。




「ね、ねえ、ここどこ?」
その言葉に知里と聡美はゆっくりと顔を上げた。
聡美は精神的に余程まいったのか眼鏡はずれ、まるで十年も年をとったように疲労している。
「何かの施設みたいだけど……」
知里の言葉はそれ以上続かなかった。
聡美はゆっくりと「地図に出てるんじゃないの?」と言った。文世は地図で確認しようと思ったがどこにもない。
どうやら逃げる途中で落としたようだ。知里がポケットから地図を取り出し広げた。
地図の中にはいくつもの研究所や倉庫などの印がある。
だが、元々自分達の位置を正確に把握してなかった為、この建物がどれに該当するものなのかもわからなかった。


「何か武器になるようなものないかな?」
文世は頭を左右に動かしたが何もない。あるのは廊下に続くドアだけだ。
「ねえ聡美……」
文世は聡美の肩に手をおいた。すると聡美はびくっと反応し、ひきつった顔で文世を睨みつけてきた。
「……ごめん」
文世は反射的に謝罪した。聡美を刺激しない方がいいと思ったのだ。

(しばらくは大丈夫だけど、この建物って丈夫なのかな?)

文世はそれが気がかりだった。


「……痛い」
「知里、どうしたの?」
よく見ると知里のふくらはぎの部分に切り傷がある。逃げている途中で負傷したのだろう。
「ちょっと待ってて救急箱さがしてくる」
保健委員らしく文世はすぐに手当を申し出た。
廊下にでて電灯のスイッチを押したが灯りはつかない。ここには電気は通ってないようだ。
文世は懐中電灯を頼りに歩いた。地下へ続く階段を発見。
廊下は行き止まりだったので階段を下りることにした。
手すりに触れたとたんにぬるっとした感触を感じ文世は慌てて手を引っ込めた。
「何これ?」
樹液のようなものが掌にべったりと付着している。
「やだ、とれない」
文世は不気味な粘着液をハンカチで拭きながら階段を下りていった。














良恵様、その子は此方で預かりますよ」
梅宮が怜央に手を伸ばすと、怜央は即座に攻撃しようとした。
「だめよ怜央!」
怜央は渋々攻撃をやめ良恵に抱きついた。
「この子は私と一緒にいるわ」
「しかしですねえ……あなたも大尉の性格はご存じでしょう?」
梅宮はわざとらしく大きなため息をついた。
「叱られるのは私なんですよ」
「徹には私から話をするわ」
「それで済むなら苦労はしませんよ」
良恵は雰囲気のいいホテルの特別室に極秘に移送された。
徹の部下達は良恵の部屋には入らないが、その周囲を厳重に見張っている。




(徹がこの子を受け入れてくれればいいけど)
良恵は怜央をベッドに寝かした。
「疲れたでしょう。しばらく寝てて」
良恵、どこにも行かない?」
「ええ、隣の部屋にいるわ。だから安心して」
「本当?」
「約束するわ」
「要は約束は破るためにあるものだって言ってたぞ」
「私は約束は守るから」
「じゃあ、俺信じる」
怜央はまだ子供だ。何だかんだ言って、しばらくするとすやすやと寝息をたてだした。
良恵はそれを見届けると隣室に移動して徹が訪れるのを待った。


特選兵士の徹の事だ。短時間で駆けつける方法はいくらでもある。
だが、それは良恵の予想をはるかに上回るものだった。
がちゃりとドアが開き良恵が顔をあげると満面の笑みを浮かべた徹が立っていた。


「徹」
良恵、会いたかったよ!」


徹は即座に良恵を抱きしめた。
徹としては抱擁の次は熱い口付けを交わしたかったが、良恵はそこまで許可を出さない。
「徹、痛いわ。離して」
「ああ、ごめん」
徹は良恵から腕をゆるめたが、肩に手を回し相変わらず密着していた。
「とりあえず座ろうか」
着座すると徹は「怪我はないかい?何か酷い事はされなかっただろうね?」と質問してきた。
それだけで良恵の事をどれだけ案じてくれていたのかわかる。徹の愛は過激だが、良恵はそれだけは感謝していた。


「ねえ徹、私がいない間に何か変わった事はなかった?」
「何が知りたいんだい?」
「それを知るために情報が欲しいのよ。お願い教えて」
「君が望むなら」
徹は良恵が拉致されたから起きたあらゆる出来事を話してくれた。その中で、とても重要な情報があった。
総統が一族を引き連れ手薄な警備の中にいるという事だ。
「テロリストに襲ってくれって言ってるようなものじゃない」
「陛下はお忍びなんだ。今回のプロジェクトは急に決まった事だし、まして陛下のお忍びは一部の者しかしらない。
大丈夫さ。万が一何かあっても、国防省の責任だよ。俺や君には責任はない」




(でも瞬はきっと知っているわ)
良恵は確信した。瞬の狙いは国防省、標的は総統だ。
良恵、どうしたんだい?」

(いけない。徹に気づかれてしまう)

「何でもないわ」
「疲れたんだね、無理もない。二度と君にこんな思いはさせないよ。
これからは俺が片時も離れずに君を守るから安心してくれ」
「片時も……」

それでは瞬を止めにいけない。徹に正直に打ち明け協力を頼もうか?
いいえ、駄目。徹が兵士としての義務よりも私情を優先してくれる保障はない。
まして徹は瞬をよく思ってない。助けてくれるかどうかわからないもの。


良恵、俺には話せない事なのかい?」
徹は悲しそうな目で良恵を見つめた。
「ごめんなさい徹、私は……」
「いいよ。君は無事に俺の元に戻ってくれた。今は、それだけで十分さ。
君があいつにさらわれてからというもの、俺は死んだも同然だったんだ」
「あの徹、実は……」
「君が気にしているのは、あいつの事かい?君が言っていた連れっていうのはⅩ6の事なのか?」
徹は隠しているつもりだったが、わずかに目つきや口調が鋭くなっている。
やはり瞬の事を嫌っているようだ。良恵は少し俯いた。


「でも違うんだろう?君の連れっていうのが、あいつなら矛盾がでる。
あいつは大人しく俺の部下なんかに捕まるとは思えないからね」
「ええ、瞬とは途中で離れたの」
「やっぱり。でも、あいつ以外で君の連れなんて思い当たらないから、ずっと気になっていたんだ。
君には罪はないけど、君はどうやら変な男にばかり愛されてしまう体質のようだ。
だから、またとんでもない男が君に恋して付きまとっているのかと思ったくらいだよ」
「徹、それは考えすぎよ」
「考えすぎなものか。じゃあ聞くけど要って誰なんだい?」
徹はもう不機嫌さを隠していなかった。


「要はその……」
良恵は「お願い徹、誰にも言わないで欲しいの」と懇願した。徹は「いいよ」と二つ返事でOKした。
「要は従兄なの」
「……従兄?」
徹は『何だ。そうだったのかい』などと納得するような男ではない。
「ふーん、従兄ね」
もはや露骨な程に拗ねている。
「本当なのよ」
「まあ、いいさ。君が悪いんじゃない。君にそんな事を言わせる、その男が悪いんだ」
徹は悪い意味で納得してしまった。


「でも連れは要じゃないの。要は瞬と一緒で、どこにいるのかわからないから」
「そうなのか?」
徹は急に笑顔になった。

(相変わらずわかりやすい性格してるわね。こういう所が徹の可愛げというのかしら?)

「まだ、ほんの子供なの。人見知りは激しいけど可愛い子なのよ」
「何だ、子供か」
徹はさらにご機嫌になっている。
「ただ事情がある子なの。お願いだから、あの子の事は報告しないで」
「いいよ。君の頼みなら」
徹は良恵を抱き寄せた。
「徹?」


「ずっと寂しい思いをしてたんだ。ご褒美くらいいいだろ?」
「ちょっと徹!」




徹の顔が近づいてくる。良恵は焦った。
抵抗してみるが、徹はその優男ぶりには似合わない腕力の持ち主で、とても女の身は歯が立たない。
今まさに唇が重なりかけた瞬間、しゅっと空気を切り裂く音がして徹は頭を下げた。
ほぼ同時に徹の頭上を花瓶が通過し、直後に派手な音を立て壁に激突。
花瓶の破片が豪華そうな絨毯の上に散乱した。
何事かと花瓶が飛んできた方角に視線を向けると怜央が激しい目で睨んでいた。


良恵に触るな!」
「怜央……!」


怜央の形相は凄まじく呼吸は荒い。
「違うのよ怜央、落ち着いて」
良恵は怜央を宥めようとしたが、怜央以上に激怒している人間がいた。
それは良恵とのラブシーンを邪魔された徹だ。徹は氷のような目で立ち上がった。


「……何だ、おまえ」
「徹、やめて。話を聞いて」
良恵は徹の腕をつかみ必死に訴えた。
良恵から離れろ!」
しかし怜央の言葉に徹はさらに腸が煮えくり返っている。
「さっき話した私の連れなの。悪気はないのよ。お願いだから冷静になって。お願い徹、お願いよ」
良恵の懇願に徹の心は少し動いた。

良恵が嫌がってる!良恵に寄るな、触るな、近づくな!!」
「……何だって?」

しかし怜央の台詞は良恵の努力を破壊しててしまった。


「特選兵士の俺に喧嘩を売るなんていい度胸じゃないか」
徹が完全に怒った。それを本能で察した怜央は全身の毛を逆立てた猫のように威嚇している。
「……こんなに馬鹿にされたのは久しぶりだよ」
「徹、この子は勘違いしてるだけなの。お願いだから乱暴な事はしないで」
もはや良恵の頼みすら聞こえないほど徹は切れていた。


「このクソガキが!俺をなめてるのか!?
俺と良恵の恋路を邪魔して、ただで済むと思っているのか!?このドグソガキがー!!」




【B組:残り40人】




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