「桐山が出て行っただと?!三村、おまえ、オレがあれほど言ったのに何していたんだ!!」
「……悪い。言い訳もできないぜ」
激昂する川田から三村を守るように七原が二人の間に割って入った。
「待てよ川田、三村を責めるのはお門違いだぜ!悪いのは桐山だ!!」
「そんなことを言ってるんじゃない!よく聞け、あの若様無しじゃあオレ達は確実に死ぬぞ!!」
川田は苦々しそうに、椅子に座った。
「川田、桐山なんかいなくたってオレ達で力あわせれば……」
「七原、おまえは何もわかってない!いいか、転校生を三人も倒したのはどこの誰だ!!」
七原は、うっと、言葉を詰まらせた。


「オレ達の誰が転校生と互角に戦える!?まして連中の中には高尾晃司って化け物がいるんだぞ!!
あいつはだけは桐山とオレ達が力を合わせなければ絶対に勝てない!!」


川田は一端口を閉じた後、今度は低い声で、「勝てるわけがないんだ」と言った。
それから小屋の隅でロープで動きを封じられている新井田に目をやった。
その視線に気づいた三村が、「注射の中身はなんだったんだ?」と問う。


「毒だったんだろ?」
「……ただのブドウ糖だった」
三村は違う意味で驚いていた。七原は何が何だかわからず交互に二人を見ている。
「……ど、どういうことだ?」
「……こっちが知りたいくらいだ」
「な、なあ……ブドウ糖ってなんだよ?強力な毒なのか?」
「栄養剤の一種だ」
「……え?」
「つまり、こんなもの討ったところで桐山が死ぬはずなかったってことだ」
七原も三村も驚いていたが、一番驚いているのは新井田だった。

(ど、どういうことだよ!あ、あれは毒じゃないのか!?)




キツネ狩り―153―




「桐山くん、大丈夫?」
「……ああ、もう大丈夫だ」
大丈夫と言われても、とてもそうは見えない。
「やっぱり、皆のところに戻ったほうが……」
「ダメだ。あそこにいれば転校生の標的になる」
『どうして』という問いは愚問だろう。桐山は常人には及ばないものをもっているのだから。
美恵」
「何?」
ふいに桐山は美恵を抱きしめた。
「……桐山くん?」
「しばらくこうしていてもいいか?こうしていると痛みが和らぐ」
「……き、桐山くん」
その様子を見ていた光子は小声で月岡に囁いた。


「桐山くんって案外キザな面があったのね」
「あら、それは違うわよ光子ちゃん。桐山くん素で言ってるもの。
でも、ちょっと妬けるわ。ずっと一緒にいたアタシ達にだって見せたことなかったわよ。
あんな素顔。アタシ達が知っている桐山くんは、いつも能面みたいに表情なんか見せなかったもの」
確かに、今の桐山はやすらぎに満ちた表情をしていた。
「でも、それも当然ね。美恵ちゃんだけだったもの。桐山くんを理解してたのは」
「何よ、それどういうこと」
「はたから見たら仲良しに見えた桐山ファミリーも実体は違ったってことよ。
一緒にいても桐山くんは全然楽しそうじゃなかったわ。沼井くん達は気づいてなかったけど、アタシはわかってた。
桐山くんはアタシ達と一緒にいるんじゃない。ただ、アタシ達が勝手に彼に付きまとっていただけ。
桐山くんは何も考えてなかったから、その状態をほかっておいただけなのよ。
もしも、誰か……そうね、例えば彼のお父さんが一言『付き合いをやめろ』って言えば終わっていたわ。
桐山くんは単に周囲の人間が『やめろ』って言わなかったから、アタシ達と一緒にいただけよ」




月岡は今はすでに亡き人となった仲間達の顔を思い浮かべた。
「沼井くんも、笹川くんも、黒長くんもね……心の底から桐山くんのこと好きだったわ。
でも、その感情は普通じゃなかったのよ。一口で言えば信者よ。
桐山くんというカリスマに傾倒して、自分達の教祖として熱狂してただけ。
桐山くんの人格に惹かれたんじゃない。惹かれたのは彼の才能や強さに対してよ。
そして、その桐山くんを自分達の王様に仕立て上げた。
自分達を惹き付ける絶対的な存在。常に頂点に君臨する人間としてね。
皆、彼を敬愛しすぎて、彼を一人の人間として理解しようというひとはいなかったわ」
月岡は自嘲気味に笑った。


美恵ちゃんだけだったのよ。対等の人間として桐山くんを見てくれたのは」


光子は何となく理解できた。光子には好意(なんて可愛いものではないが)を寄せてくれる男が大勢いる。
自分に首っ丈な連中だが、誰一人として、本当の自分を見てくれる男はいなかった。
恐ろしい魔女の仮面の下に、母親に裏切られて泣いている小さな女の子がいる。
それに気づいてくれたのは美恵だけだった。


「意外なところで、あたしと桐山くんの共通点があったのね……」
でも、と光子は続けた。
「だからこそ、彼は勝ち続けることが出来たのね。昔の彼だったら死んでるわよ」
「そうね。そうかもしれないわ」
それから光子は周藤から受けた傷を見詰めた。
「……時間はどのくらい持つのかしら?」
「国信くんは症状がでるまで半日かかったらしいじゃない。
きっと個人差はあると思うわ。アタシ、彼と違って丈夫だから二日は生きるわよ」
「あら、あたしだって簡単にはくたばらないわよ。その辺のやわな女子中学生とは違うわ」

「ふふ、光子ちゃん。あなた、いい女じゃない」
「月岡くん、あなたもね」














「とにかく、オレは桐山達を連れ戻す」
川田はライフルに弾を詰め、残りの弾はポケットに押し込めた。
「オレも行くぞ」
「ダメだ七原、おまえは三村と一緒にいろ。大勢で動くのは目立つからな。
いいか、おまえはいい奴だが、少し感情的になりすぎるところがたまに傷だ。
何か重要な判断を必要とする時は、三村に従え。わかったな?」
「あ、ああ」
「それから、新井田だが……」
川田は冷たい視線を新井田に向けた。
「絶対に拘束を解くな。もし、オレの留守中に転校生が襲ってきたら」
新井田はゴクッとツバを呑み込んだ。

「片付けろ」

新井田は瞬間的に全身真っ白になった。
「ちょ、ちょちょちょちょ……ちょっと待てよ!オ、オレは桐山さんを殺そうとなんてしてねえぞ!!
川田さん、あんた、それを自分自身の口から証明してくれたじゃねえか!!
オレは桐山さんに栄養剤討とうとしただけなんだぜ!なんで、それで殺されなきゃならないんだ!!」
「まだわからないのか新井田」
川田は哀れみをこめた目で言った。
「おまえは利用されたんだよ。オレ達を団結させないためにな」














「……川田は離れたか」
周藤は携帯をしまうと、バイクに跨った。
「まあいい……最初は三村だ」
おそらく銃を持っているだろうから、武器ポイントと合わせて700ポイント入る。
周藤は三村達が隠れていた山小屋に向かって走った。
途中、道ではない岩場や川を超え、あっと言う間に三村達のすぐそばまで来たのだ。
「……あの音は!」
三村は小屋の窓を上に上げた。バイクに乗った周藤の姿が目に入った。
「転校生だ!逃げるぞ!!」
時間なんてない。ディバッグを持ち、小屋から飛び出すのが精一杯だった。
その直後に、小屋に何かが投げ込まれた(おそらくは手作りの火炎瓶だろう)
派手な音がして、小屋が炎上した。


「ひっ!」
あまりのことに腰を抜かしかけた飯島。その後ろ襟を掴み、三村は強引に立ち上がらせ。
「逃げるぞ!さっさとするんだ!!」
「三村!に、新井田がまだ小屋の中に!!」
「可哀想だが、あいつにかまっている暇は無い。行くぞ!!」
三村は「こっちだ!」と二人を先導して走った。いざというときの為に、周囲の地理は頭にしっかり入れてある。
小屋を中心とした半径数十メートルほどの範囲にすぎないが。
七原と飯島は慌てて三村の後を追った。
桐山もいない。川田もいない。今、頼れるのは三村だけだった。














「ねえ桐山くん、どうやって、あいつを探す?」
あいつとは周藤晶のことだ。毒を持っているなら当然解毒剤も周藤が持っている。
おびき寄せるだけなら簡単だ。自分達はここにいると派手なデモストレーションをすればいい。
例えば焚き木を集めて煙を出したり、大声で叫んだり。しかし、それだと余計な敵(高尾晃司)まで来てしまう。
周藤だけを何とかおびき寄せる方法があればいいが、そんな都合のいい方法なんてない。
「探す必要は無い。すぐに来る」
「ええ!?く、来るって!?」
「ついて来い」
桐山は立ち上がると、三人を引き連れて歩き出した。














「うわぁぁぁー!!」
燃え盛る小屋の中から、炎のスタントマンと化した新井田が飛び出してきた。
背中に火がつき、さらに爆破のさいの破片が足に食い込んでいる。
背中の火は、あっと言う間には髪の毛に燃え広がっていた。
新井田ご自慢のサッカー選手のようなヘアーがチリチリになってゆく。
新井田は地面に背中をこすりながら、必死になってのた打ち回った。
その甲斐あって、火は何とか消えたが痛みは消えてない。背中がひりひりする。まだ熱い。
新井田の視界に水溜りが入った。新井田は、背中からダイブした。
不衛生な水溜りに自分の頭を浸けるなんて普段の新井田なら絶対にしないだろう。


「はぁ!はぁ!」
僅かながら冷静を取り戻しつつあった新井田の目に恐ろしいものが飛び込んだ。
「こ、これは!!」
新井田は水溜りの水面に映る自分を見た。
「そ、そんな、そんな!!」
新井田は常日頃、自分を色男だと思っていた。実際に世間的にいえば、なかなかハンサムではあった。
(もっとも桐山を筆頭に美男子が揃っているB組においては目立つ存在ではなかったが)
その自分の頭が焼け焦げて、まるで鳥の巣のようになっている。
頬や額の一部が赤く焼けただれ肉が露出。
皮膚というメッカがはがれた今、内面の醜さにふさわしい風貌となっていたのだ。
こんな顔では、もうモテモテのサッカー選手なんてなれない。
雇ってくれるのはオバケ屋敷くらいだ。新井田は恐ろしい形相で叫んだ。

「オレの!オレの顔がー!!うわーんっ!!」




背後でじゃりっと音がした。振り向く新井田。冷めた目をした周藤が立っていた。
「ひ、酷いじゃないか周藤さん!」
新井田は頭に血が昇り、怒りのまま周藤に暴言を吐き出した。
「約束が違うじゃねえか!!あんたは人でなしだ!!
オレの!オレの顔!こんな顔じゃあ天瀬はおろかブスだって近寄らないぜ!
どうしてくれるんだよ!!責任とれよ、とりやがれ!!」
ワンプレスで言い切った新井田。興奮したせいか、はぁはぁと息が荒い。


「安心しろ」
周藤の冷めた声。
「元々、おまえが、あの女に相手にされるわけがない。あの女にはおまえの内面の醜さしかわからないからな。
おまえの外見なんて、あの女にとっては何の価値もないだろうぜ」
「なんだって!!そういう、あんただって顔以外、何のとりえがあるってんだ!!
あんたの言いなりなんかになるんじゃなかったぜ!!畜生!!」
新井田はまたワンプレスで言い切った。しかし今度は先ほどと一つだけ違う点があった。
新井田は周藤の顔を見上げて言ったのだ。当然、その冷たい目を見てしまった。
新井田はハッとした。怒りのあまり、この男の恐ろしさを忘れていた。
自分を見下す、この血の通ってないような冷たい眼差し……。
新井田は我に返ってガタガタと震えだした。
醜くなった外見のことなんて忘れた。もう命のことしか頭になかった。




「そうか、オレの言いなりになったことは後悔してるんだな。
だったら、契約を今すぐ解除してやってもいいぞ」
「……あ、あの……す、周藤さん……う、嘘なんです、今のはその……」
新井田は、まるで極寒地にいるかのように震えていた。
あまりの恐怖に全身が硬直している。
「じょ、冗談……なんですよ……そ、その……」
周藤が一歩前に出た。新井田の理性は一気にふっ飛ぶ。

「うわぁぁー!く、来るなあー!!」

新井田は足元の小石を拾うと必死になって投げ出した。
はたから見ても滑稽だ。小石なんか周藤はちょっと体を動かすだけで避けている。
それでも新井田は必死になって投げていた。しらけた表情の周藤が飛んできた小石を一つ掴むと投げ返す。
新井田の額に命中して、新井田はハデに背中から地面に倒れた。


「ひぃぃー!!」
「もう、おまえには用は無い。不出来なスパイだったが、最後にもう一つだけ役にたってもらうか」
新井田はよつんばいで逃げ出した。立ち上がろうとするも足元がもつれたてないのだ。
「おまえでもオレのポイントの足しにはなるからな」
新井田は逃げた。恐ろしくてたまらなかった。だから、恐怖以外のことなんて考えられなかった。
目の前の地面が途切れているなんて、そんなことも気づかなかったのだ。
新井田は落ちていた。大した高さではない。二メートルほど地面が陥没している。
いや掘られていた。配水管の工事現場に出ていたのだ。




「こ、ここは!?」
落とし穴にはめられた気分だった。それが、さらに新井田をパニックに陥れた。
新井田はクラスの中でも運動神経はいい方だ。
日常ならば、すぐにこんな穴から抜け出せただろう。
しかし、パニックになっているせいで、出来ない。
必死に土壁を登ろうとするも、手足が滑って制服が汚れるだけだ。
足音が近づいてきた。新井田の恐怖は再び頂点に達した。
周藤の姿が見えると新井田は必死に命乞いをした。


「た、助けて!お願いです、許してください、周藤さん!いや、周藤さま!!」
新井田はなりふり構わず、地面に額を擦り付けた。
「何でもします!あいつら全員殺しますから!!
オ、オレは役に立ちますよ!き、きっとあいつら殺すのに役に立ちます!
も、もう、あの女も要りません!オレの命さえ助けてくれれば、もう要らないです!
な、なんなら、周藤さまにくれてやります!焼くなり煮るなり好きにしてください。
周藤さまだって、そういうことは嫌いじゃないんでしょ!?大好きなんでしょ!?
だから、どうか、オレの命だけは!!命だけは助けてくださいっ!!」
「……オレは何度も最後を迎えた人間を見てきた。自分の命がかかると、どいつもこいつも本性を暴露するが」
周藤はそばにあった重機に手をかけた。エンジン音が鳴り響く。

「おまえほど見苦しい奴も珍しいぜ。哀れなくらいだ。哀れすぎて、これ以上は何もいうことはない」

周藤は、重機の操縦用の棒を下に引いた。重機が前進しだした。周藤はクルリと背を向けると歩き出した。
すぐに新井田の視界から消え、新井田はその場に座り込んだ。




「……た、助かった……や、やっぱり天はオレを見捨ててなかったんだー!!」
歓喜のあまり重機が直進しているなんて新井田は全く気付かない。
「そ、そうだよな。オレはラッキーなんだ!
日頃の行いがいいオレが死ぬわけなかったんだ。
クラスのバカな連中と違って、オレは生き残るべき人間なんだか……」
新井田の言葉が途切れた。新井田は見たのだ、重機が、この穴に向かってきたのを。
そして、当然ながら、グラッと大きく傾いたのを。


「……そ!」

新井田の目にスローモーションのように、重機が落ちるのが見えた。


「そんなぁぁー!!」


それは新井田の角膜の中で、一気に拡大された。
拡大した直後、新井田の意識は完全に途切れた。ただ、グチャっという鈍い音だけが周藤の耳に届いていた。
「……さて」
周藤はチラッと三村達が逃げた方向に目をやった。
「あの方向にはトンネルがあったな……」
周藤は、すぐに行動に移した。特殊部隊で鍛えられた人間だ。アウトドアでは断然民間人より有利。
林の中を回り道しようと、すぐに追いつく自信が周藤にはあった。
それに、あのトンネルには、すでに仕掛けがしてある。
周藤は、島の中を歩き回っている間、生徒が通りそうな場所にいくつか悪戯をしていたのだから。














「み、三村ぁ……オレ、もう疲れたよ」
飯島はもう根を上げていた。
「何言ってるんだ!ちょっと走ったくらいで!!」
「で、でも……ずっと寝てないんだ……」
それは三村もわかっていた。三村自身がそうなのだから。
普段ならば、ちょっと疲れるくらいの行動も、今の体力では、かなり疲労してしまう。
まして精神的にも、追い詰められている分、消耗は普段より倍増する。
「三村、トンネルだ」
「ああ、確か地図では……」
三村は頭の中で、この島の地図を広げた。あのトンネルを抜け走り続ければ集落に出る。
「頑張れ飯島。集落に出れば隠れ場所なんかいくらでも見付かるぞ」
「そうだな三村、頑張って生きて帰ろうぜ」
七原は三村よりコンマ一秒足が速かった。
七原が僅かに前に出た。その時、三村は前方にキラリと何が光ったのを見た。


「まて七原!」
慌てて七原の腕を掴んだ。七原の体勢が大きく崩れる。
「な、何するんだ三村!!」
七原は首筋がチクリと痛むのを感じた。
「……な、なんだ?」
「……危なかったな……見ろ七原」
七原はじっと目を凝らした。何もないはずの空間にうっすらと糸のようなものがあった。
「……こ、これは」
「……ピアノ線だ……あのまま走っていたら、首を切ってたぞ」
七原はゴクリとツバを呑み込んだ。
トンネルの中は湿気が多い。僅かについた水滴がピアノ線の位置を三村に教えたのだ。




「……引き換えしたほうがいいな。多分、出口にはトラップが仕掛けてある」
「で、でも三村……奴が追いかけて……」

カツーン……足音。全員がビクッとした。

「み、三村……あいつだ」
「……そのようだな」
「ど、どうする三村?」
小声で話してもトンネル内には響く、その度に七原は心臓が鷲掴みされているような感覚を味わった。

(ピアノ線を切断して……いや、その後はどうする?
多分、いや絶対に罠が仕掛けてある。しかし素人のオレにそんなものどうにも出来ない。
時間さえあればいいが、その肝心の時間がないんだ)


「三村、どうするんだよ」
「静にしてくれ……今考えている」
「その間にあいつ追いつくぞ。しょうがない、強行突破しよう。
このピアノ線だけかもしれないじゃないか。トラップなんて、これで終わりだよ」
七原はトラップより近づく足音のほうに気をとられていた。
確かに、トラップはこれだけかもしれない。
だが、トンネルの出口ではなく、そのずっと手前で仕掛けられていたということが三村には引っ掛かっていた。
わざわざ出口ではなく、トンネル内に仕掛けたということは、これが最後じゃない可能性が高い。
出口に第二のトラップが仕掛けてあったら三人ともお陀仏だ。
「三村、早くしないと、あいつが来るぞ」
「わかってる!」
三村は焦った。その耳には、ただ足音とトンネル内を流れる水の音だけが聞えていた。




【B組:残り8人】
【敵:残り2人】




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