「おい、何か手掛かりあったか?」
「いや何もない」
直人たちは、ある部屋に来ていた。どうやら警備室のようだ。
廊下や階段、それに各部屋などに取り付けている監視カメラ。
(もっとも、コンピュータウイルスのせいで、消えたりついたり)
そのどれかに美恵が映っていないかと思ってやって来たのだ。
だが、モニターには美恵どころか、F4の姿さえ見られない。


「……クソ、本当にどこに言ったんだ?」
俊彦は焦っていた。あの時のように美恵がF5に何かされたらと思うと気が気じゃない。
「とにかく、エリアの見取り図をプリントアウトしよう。それを各自持っていたほうがいい」
直人は冷静で、やっぱり頼りになる。あのクソ親父の教育も全く無駄ではなかったようだ。
少なくても、「美恵!美恵はどこにいるんだ!」とわめき散らしている雅信よりはずっといい。
「無線機も持っていたほうがいいな」
直人は警備員用の無線機を数機取り出した。
「コンピュータがウイルスにやられている以上、ネットワークは使えない。
これで連絡を取り合ったほうがいいだろう。
二手に分かれて他の連中を捜したほうがいい。その方が効率も上がる」
「ああ、確かにな」
直人がテキパキと指示を出していた。少し離れて薫はじっとモニターを見ている。
先ほどまで消えていたモニターの一つがパッとついた。


「……これはこれは」

薫はニヤッと笑みを浮かべた。そして、そのモニターの電源だけをOFFにした。

「どうした薫?」
「なんでもないよ」

そのモニターには、F5らしい人間に囲まれている徹の姿が映し出されていた。




Solitary Island―130―




「……ん」
美恵?」

なんだ寝言か……。瞬は、美恵に布団を掛けなおした。

(死に掛けたのに動き回ったからだ。いつ気を失ってもおかしくない体なのに)


少なくても今は殺されない。今のうちに休ませておいたほうがいいな。
そう思ってから瞬はハッとした。殺そうと思っているのに、休ませてやるも何もない。


「一つ聞いてもいいかな?」
「何だ?」
珀朗は相変わらず隣に座っていた。この部屋から出て行く気もないようだ。
「君の最終目的は何だい?」
決まっている。科学省の滅亡――その為に生きてきた。
その為なら何でもしてやる。たとえ、実の肉親をこの手にかけようとも。
だが、それを事細かに説明してやる気にもなれなかった。
何と言ってもF5は信用できるかどうかわからない。
そのF5しか頼りになる存在がいないのも確かだが。


「……おまえたちと多分同じだ」
「僕は何も望んでいないよ。蒼琉たちはそうでもないけどね」
「どういうことだ?」
「僕にとって復讐はあまり意味を持たないものなんだ。
興味がないというより、僕は生も死も同じ意味しかないと思っているからかな?
今、生きていることにもあまり意味がないように、死にも意味は無い。
だから僕達をこういう風に作った科学省にも復讐心はないんだよ。好意に値するわけでもないけどね」
「こういう風?」
「なんだ知らなかったのかい?僕達は科学省にはそれほど歓迎されない子供だった。
だから、君達Ⅹシリーズのように長く活用しようなんて意識はもたれなかったのさ」
瞬の顔色が変わったので、珀朗は、「ああ、ごめん。君は違ったね」と謝罪した。
謝罪はしたが、どう見ても、そう悪く思っているようには見えない。




「科学省は僕達が通常の人間より高い戦闘能力を持つために必要なのは何かと考えたんだ。
結果、敵を殺すのに全く躊躇しない冷酷非情さ。そして戦いを好む好戦意識だと結論付けた。
蒼琉たちを見ればわかるだろう?彼等は氷のように冷たくて……火のように激しい。
はっきりいって僕は失敗作だったようだ」
「…………」
「でも、そういう人間ほど命令に従順じゃない。
だから恐れた。子供のうちはいいけれど、大人になったら逆らう可能性がある。
もしもの時のために保険をかけた。それに蒼琉が気付いたのさ。ほんの……」
珀朗は溜息をついて、「ほんの数ヶ月前の出来事さ」と吐いた。


「蒼琉のあんな怖い顔は初めて見たよ。ぞっとするくらい怖い笑みを浮かべていた。
科学省が僕等にした仕打ちに激怒したのは蒼琉だけじゃない。
紅夜も黒己も。人一倍自己愛が強い紫緒や翠琴、沙黄にいたってはもっとだっただろう。
でも蒼琉の怒りが凄まじかったから、自分達が怒ることすら忘れていた。
蒼琉は決断したんだ。科学省に対して反乱を起すと。
僕達は蒼琉についていくことにした。それしか選択肢がないように。
この島にいた科学者や医者、それを警備していた軍人、他にも大勢いたよ。
みんな逃げたよ。すごい武器だって持っていたのに相手にならなかった。
蒼琉の恐ろしさは育てた彼等が一番よくわかっている。
島中逃げた。でも一人残らず蒼琉たちに殺された。
僕も殺した。不思議な事に殺しをしても、僕は後悔もしなければ罪悪感も感じないんだ。
あの時は、僕の本質は蒼琉たちをそう変わらないんじゃないか、そう思ったよ。
そして最後の一人を殺し、蒼琉は潜水艦で島を脱出しようとした」


「でも、できなかった。パスワードが必要だったんだ」
「そういうことさ。こんな絶海の孤島から、いかだを作ってでるわけには行かないだろ?
だから、待つことにしたんだ。科学省のほうから出向いてくるのを。
まさか、君のように僕達を手を組もうなんて人間がくるとは思わなかったけど」
「それほどブルーを怒らせた理由は何なんだ?」
「僕の口からは言いたくないな。でも、いずれわかるよ。蒼琉と紅夜には、もう時間がないからね。僕以上に」














「……くくく。さあ……一番手は誰だ?」
一番手……それは、もちろん死亡者第一号。
黒己は数の上では圧倒的フリにも関わらず、余裕に満ちた表情でゆっくりと周りを見渡した。
千秋と目が合った。本能的は千秋は犠牲者第一号は自分だと思った。
「……い、いや」
千秋が選ばれたと感じたのは本人だけではない。
「逃げろ千秋!!」
幸雄が千秋に逃亡を促すように、背中を突き飛ばすと、黒己に飛びついた。
必死になって腰に手を回し、「は、早く逃げろ!」と叫んだ。


「ゆ、ゆっくん!」
「何している!!オレにかまわずに逃げ……」

幸雄の首に激痛が走った。黒己の肘打ちが見事に決まっていたからだ。
「んー……オレは美女に抱きつかれるのは大歓迎だが」
黒己は幸雄の襟を掴み、そのまま高々と持ち上げる。
「男に抱きつかれるのは……」
「に、逃げろ……逃げろ千秋……!」
「金輪際真っ平ごめんだ!!」
父譲りで学校でも評判だった幸雄のハンサムな顔面に黒己の膝が食い込んだ。
「……けほッ」
幸雄の口や鼻から血が流れる。床にパッと赤い点が飛び散った。


「きゃぁぁー!!や、やめてッ!!」
千秋が慌てて駆け寄ろうとする。黒己が嬉しそうにニヤっと笑う。
駆け寄ろうとした千秋を貴子が腕を掴んで止めていた。
「やめなさい!」
「は、放して!!ゆっくんが……ゆっくんが殺されるっ!」
「あなたじゃ相手にならないわ。弘樹!!」
杉村は、すぐに貴子の言葉に反応して黒己に向かって行った。




「おっと」
凄まじく切れのいい蹴り。黒己は少々大袈裟にそれを避けた。
「その子を放せ!!」
「嫌だね。放せというのなら……」
黒己はナイフを取り出すと、幸雄の目の前にスッと突き出した。
「まずは……両目をえぐってから放してやろうか?」
「この変態野郎!!」
黒己の背後から貴弘が強襲をかけた。


「……っ!?」
黒己もやや驚くくらい切れのいい蹴り。
しかし黒己の本能に植え付けられた戦闘能力は貴弘が両親から受け継いだ才能を凌駕していた。
黒己は後ろを振り返らずにスッと頭を下げる。その真上を貴弘の脚が通過。
通過した直後に、今度は黒己は体はまるでトランポリンで飛んだかのように大きく宙を舞っていた。
そのまま、空中二回転。着地。
着地したのは昌宏のすぐ目の前。昌宏はすぐに逃げようと体を翻した。
が――ドスっ!と、いう鈍い音。昌宏はゆっくりと目線を下げた。


「……ぁ」
ナイフの刃が見える。赤い色つきの。
その刃は、自分の左胸から飛び出していた。
「……か、柿沼くん!!」
千鶴子の声が背後から聞えた。でも、ゆっくりと振り向くと、角膜に映ったのは千鶴子じゃない。
満面の笑みを浮かべた黒己、その人だった。
ドシュッ……と、再び鈍い音がして、ナイフの刃が引っ込んだ。
いや、黒己が引き抜いた。
同時に、噴水のように昌宏の胸から一気に血が噴出した。




「ひっ……うわぁぁぁー!!」
それをみた雄太は……恐怖のあまりプッツン切れた。
クラスメイトたちも親友の隆文のことも、しかも命懸けで14年間愛し続けてきたUMAのことすら完全に頭から消し飛んだ。
まるでオリンピック選手のようなスタートダッシュ。
将来は冒険家になるのが夢で、常日頃から体を鍛えていた。
いたが人並み以上なのは体力、つまりは持久力であって瞬発力は人並み。
しかし、この時だけは雄太は風になった。
だが――黒己は、その上をいく、まさに疾風だった。
黒己はまさに風にのったかのように、一気にジャンプ。一瞬で雄太の前に降り立った。


「……ひ!」
「……んふふ……一晩……」
「ひぃぃーー!!!た、助けて……助けてチュパカグラ……っ!!」
「一晩自由……初夜ー権っ!!」
黒己の右拳がジェット機のように足元から急上昇。
その右手にはキラリと何かが光っている。
「避けろ服部っ!!」
それが何なのか、貴弘にははっきり見えた。
動体視力が人一倍あった貴弘の視覚には、昌宏の血で汚れたナイフがはっきりと映っていたのだ。


「……っ!」
ドス……腹に何かが食い込んだ。
「……あ、ああ……」
痛みは無い。ただ神経が麻痺したような感覚だけがあった。
それが恐ろしいのだ。確実に自分の神経は感覚を失っていることを嫌でも実感させられる。
死への旅路に一直線。立ち止まる事など許されない。


「……こ、怖いよ……怖いよ……誰か……」


『助けて』……最後に頭に浮んだのはネッシーだったか、それとも両親の顔か。
どちらも違う。思い浮かべる時間もなかった。
突き刺さったナイフを、再度黒己が力を込めて突き上げたのだ。
雄太はその場に倒れた。まだ息はある。
でも時間の問題。ヒューヒューと口から空気が漏れる音。それも、直に終わるだろう。

「……雄太?」

雄太の悲鳴で意識を取り戻した隆文が見たのは親友の哀れな死体。
いや、まだ息があるので死体という表現は適切ではない。
しかし、少なくても隆文には死体にしか見えなかった。




「き、貴様!!よくも、オレのローンガンメン候補を!!」
隆文の怒りに火がついた。火がついただけだったが。
(どうでもいいがローンガンメンとはⅩファイルの主人公モルダーご用達の便利なオタク友達のことだ)
怒りで我を忘れた隆文だったが、黒己がナイフの血をペロッと舐めたのをみて真っ青になった。
そして、再びその場にバタンと倒れた。
幸か不幸か、倒れたおかげで黒己の興味がそがれたのも事実。
黒己はチラッと今度は右に顔を回転させた。
その先には千鶴子がいた。礼二が取り巻きにしているだけあってそれなりに美しい少女。
黒己はニヤッと笑った。千鶴子は次は自分だと確信した。

「……や、やめて」
「……んー、やめて……か。いい響きだ、でも……」

『一晩だけなら自由にさせてやる』、その言葉が黒己の脳に何度も反復される。
「ダメだな……残念っ!!」
黒己が猛ダッシュ。あっと言う間に千鶴子の目の前に。
「ひっ!!」
が、次の瞬間には姿が消えた。
「……え?」
だが、消えたと思った瞬間、背後から手が伸びてきて千鶴子の首に嫌な感触が走る。


「んふふふふ……滑らかな肌だ。綺麗だ……柔らかくて、いい匂いがする……」
「……ぁぁ」
千鶴子は意識を保っているのが精一杯だった。黒己の手が自分の首に回されている。
もう片方の手は腰に回され完全に密着した状態。腰からするすると手が胸に移動していた。
「……知ってるか?女の柔肌とナイフの関係は、まるでバターとナイフだ。
んふふふふ……最高級品のバターだよ……」
ぺろ……と、首にナメクジのような感触が走る。千鶴子はひっと小さく悲鳴を上げた。

「……やはり、いい味だ……女は一番美しいときに死ぬに限る。そうだろ?」
「……た、助けて……死にたくない……私、死にたくないっ」

ポタポタと雫が黒己の手に落ちた。普通の男なら殺意が鈍るかもしれない。
だが黒己は普通ではない。


「涙……いいな。知っているか?涙の成分は海と同じなんだ……。
おまえの命の最後の涙はオレの心の中に生き続ける。だから悲しむことはない。恐怖も無い。
痛いと思う前に、おまえはオレの手によって、苦痛の無い世界に旅立てるんだ。
女は苦しめると味が落ちる。だから安らかに逝かせてやる。
男は全員もがき苦しむが、おまえは違う……だから安心して全てをゆだねろ……ふふふ」

「ふざけるなっ!!」

黒己が油断した一瞬の隙をついて純平が飛びかかっていた。
黒己のナイフを掴んで放さない。
「に、逃げろ!!逃げるんだ千鶴子ちゃん!!」
千鶴子が黒己の手からはなれた。
「……邪魔するのか。今決めた、おまえは一番残忍は方法で殺してやる」
「う、うるさい!!オ、オレはなあ、女は生かして綺麗に花開かせてやるタイプなんだ!!
蕾のうちに殺そうだなんて邪道だぞ、この外道っ!!」














「へえ……誰よ、その女。女嫌いを本気にさせるなんて、ちょっと興味わいちゃうわ。
ま、あたしより美人ってことはないでしょうけどね」
沙黄は、ふふっと自らの体を抱きしめ、その大きい胸をさらに大きく見せた。
「オレの恋人は、おまえなんかでは足元に及ばないくらい綺麗だ」
「……何ですって?」
沙黄の顔色が変わる。
「もう一度言ってみなさいよ。いくら美少年でも許さないわよ」
「何度でも言ってやる。オレの恋人は世界一だ、ナンバー1だ。おまえなんかと違って知性と気品溢れた本当の麗人。
何より、薄皮一枚剥げば、醜い中身しかないおまえと違って心も魂も綺麗なんだ」
「……ふざけないでよ!!」


沙黄は銃口を向けた。だが、徹の行動のほうが早かった。
徹の脚が一気に急上昇。それに伴い、沙黄の表情が歪んだ。
蹴り上げられた手から銃が離れ、クルクルと回転しながら空中を舞っている。
徹は、その銃をわが手に取り戻さんと、大きくジャンプした。
「させるか!!」
しかし、沙黄も黙ってみているほどおしとやかではない。
徹に空中タックル。徹のバランスが大きく崩れ二人の体が落ちる。
両者ともに回転して着地。次に仕掛けたのは沙黄だった。
着地するや否や、弾丸のように徹の間合いに瞬間移動。そして大きく脚を振り上げた。
ミニスカートだった為に、見事にパンツ(黒のビキニタイプだった)が丸見えだったが、もちろん徹にはそんなもの目に入らない。
徹の腹部目掛けて向かってきた脚だけが徹の気を引いていた。
女と思って甘く見てはいけない。それほどのスピードと切れ。
まともに受けたら、間違いなく胃液を吐くような洗礼を受けるだろう。


徹は、その攻撃をかわすと、飛んだ。
沙黄の顔面目掛けて、お返しとばかりに蹴りをくらわせてやろうとしたのだ。
徹は女であっても容赦しない。
なぜなら、徹にとって性別上女と言えるのは美恵だけ。
ゆえに、それ以外の女に手加減しやる必要など全くないのだ。
決まれば、沙黄の自慢の顔がかなり酷いことになっていただろう。
もしかしたら鼻の骨が折れ、前歯が折れ、美人という代名詞を一瞬で失っていたかもしれない。
だが、やはり、この状況は徹にとって不利だった。敵は沙黄一人ではない。もう一人いたのだから。
徹の動きがピタッと止まった。いや止められた。
紫緒が羽交い絞めをかけ、徹の動きを抑えたのだ。




「……貴様っ!!」
「それまでだよ」
鼻につく香水の臭い。紫緒が放れない限り、その嫌な臭いは消えないだろう。
「サンキュー紫緒」
「……で、どうする?すぐに半殺しにして蒼琉のところに連れて行く?」
「……まさか、だって、蒼琉に渡したら、もう楽しめないじゃない」
「そうだよね……ふふ、話がわかるよ。君と組んで本当に良かった……。
黒己じゃあ、こうはいかない。あいつは男には興味ない無骨者だから……ね」
「本当よ……綺麗なら男でも女でも関係ないのにね。あ、あたしは男にしか興味ないけどねー。うふふ」
徹は力づくで紫緒を振りほどこうとした。
ところが、見かけとは裏腹に、意外にも怪力の紫緒はしっかり徹に抱きついてはなれない。
羽交い絞めと言うより、馴れ馴れしく密着しているような感覚。
美恵以外の人間には触れられたくない徹にはたまったもんじゃなかった。


「……散々逆らってくれたんだから、それなりのことはさせてもらうわよ」
沙黄は動きを封じられた徹に近づくと、顔を近づけた。
徹がツバを吐いたので、沙黄の顔にもろに当たる。
沙黄は、それを手ですくった。べたっと糸を引いている。
「……何するのよ。あー、わかった。あんたディープキスしてほしいのね」
沙黄は徹の頬に手を添えた。
「沙黄……それは後でいいだろ?自分だけ楽しもうなんて考えるなよ」
徹の背後で、はぁはぁと荒い息。随分と興奮しているようだ。
「わかったわ」
沙黄は徹の学生服に触れた。そして、ボタンをはずしてゆく。


「何をするつもりだ!!」
「何って……わからない?だったら黙って見てなさいよ。アハハ」
すぐに学生服は前開きとなり、沙黄は今度はワイシャツのボタンを外しにかかった。
「……沙黄、ドキドキしてきたよ」
「あたしも……外の男って初めてだもの」


(……こ、この変態コンビ!!)

徹は怒りと屈辱で眩暈がした。

(オレは美恵を脱がせるのは好きだが、おまえたちなんかに脱がされるのは死んでもごめんだ!!)


「沙黄、沙黄……上もいいけど……下も脱がせろよ」
「わかってるわよ。焦るんじゃないわよ」
沙黄の手が徹のベルトに触れた。
「それ以上触るな、この変態女っ!!」
徹は、羽交い絞めされたままの体勢で、沙黄に両足蹴りをくらわした。
「きゃあ!」
沙黄が飛んでいく。


「このクソ女がっ!!オレを舐めているのかっ!?
オレを本気で怒らせやがってっ!!
覚悟しろ、貴様ら二人とも生まれてきたこと後悔させてやるほど苦痛に歪ませてやるっ!!」




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