「なあ、未遊・・・・・・」
「なーに?」
「おまえもそろそろ、彼氏とか・・・・・」
「いません。そして、たいした男がいません」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

「えぇ~い、ラチがあかん!!
 こうなったら未遊!! 軍事学園に転校して、いい男を見つけてこい!!」

パパの逆ギレは、本当に勘弁してほしいな・・・・・って思います。


人生は 策士野郎が 得をする【前編】





私の名前は天風未遊。
全軍の指揮官を務める(平たく言えば、軍の頂点に立つ)パパの一人娘です。
パパは、ウザイほど親バカです(失笑)
そして、なぜか私を早く結婚させたいようです。
「ねえパパ。今の、どういう意味?」
「大東亜共和国特殊軍事学園って、知ってるか?」
パパ・・・・よく噛まずに言い切れたね。
もう一回言ってっていったらキレるかしら?
「知ってるわよぉ。イツキくんが行ってる学校でしょ?」
イツキくんとは、和銅イツキのことである。
彼とはパパの仕事場でちょくちょく会うので、ある日話し掛けてみた。
そしたらすっごく繊細な人で、すっごく優しい方で、すぐに友達になっちゃった。
「そうだ。パパはイツキくんと未遊が結婚してもいいと思っているのだが・・・・」
「いやっ!! あの関係が、素敵に無敵に素晴らしいのっ!!」
「だ、だから、軍事学園の男を見て来いって言ってるんじゃないか・・・・・」
軍事学園の噂はよく耳にする。
いい男が選り取りみどりとか、彼が軍事学園の人だと自慢する人とか。
えーい。男は顔じゃない!!

顔と心だ!!(顔もよくなきゃダメ!!)

「と・も・か・く。私はそんなとこ行きません」
「あ、ごめん。今、行くって手配しちゃった」
くそじじい!!!
その手に持った電話の受話器はなんだぁ!!??
電話の向こうは、軍事学園の理事長あたりかぁ!!?
「・・・・・いいわよ、いくわよ!!
 ただし、来週発売のゲーム『バトルロワイアル ~生き残れるのは誰だ!?~』を、
 今日中に手配してね!! 絶対だからね!!!」
そうなのよ、そうなのよ。
原作どおりのシナリオ。アクション。
そしてそして、裏技を使うと出ると噂の桐山和雄!!
ぜーったい出してやるんだからぁっ!!



こうして私は、軍事学園へ転校することになりました。
これでいい男がいなきゃ、マジギレします。
何人か死者が出ます(え?)










「たーのーもぉーっ!!」
教室に乗り込んだ―――もとい、優雅に入った私。
ああ。今日からここが私の教室なのね。
さあ、いい男カモンッ!!
「って、誰もいないし!?」
教室には誰もいません。
先生もいません。
これは新手のいじめでしょうか?
・・・・ふと、時間割を発見。
どうやらこのクラス、今の時間は外で体育をしているらしい。
って、普通転校生が来る日に一時間目から体育!?
「くっそぉ。これでいい男いなきゃ、この学校破壊してやるっ」



―――そんなわけで校庭へ―――

さすがに広い。
設備もかなりいい。
・・・・と、向こうの方でサッカーをしている男子どもを発見。
おそらく、あれが私のクラスメイトたちだろう。
いざ、まいらん!!




「い・つ・き・ちゃぁ~んっ!!!!!」



私は、ゴールキーパーをしているイツキくんを見つけ、抱きついた。
その時。
「シュートぉ♪」
ワックスで髪の毛を固め、アクセの装飾がほどこされている男が、
私とイツキくん(ゴール)に向かって、シュートをしてきた。
私の登場に驚いているイツキくんだったが、瞬時に飛んでくるボールへと手を振り下ろした。
美しく、優雅に。
ボールは音もしないで弾き返される。
「イツキくん!! さすがだね!!」
「・・・・・なんでここにいるの?」
「パパがぁ、いい男見つけて婚約してこいってさ」
「へえ。俺じゃダメなの?」
うわ~。でたよ。イツキくんの大胆発言。
みんな。見かけに騙されちゃダメだからね。
イツキくんはこう見えて、かなりの大胆男ですから!!
「やだぁ、イツキくん。思わず顔赤くしちゃった♪」
少し照れながらそう言った。
ふと、私は視線を感じる。

「・・・・ぬをっ!!??」

思わず奇声を発してしまう。
自分の背後に、人形のように美しい無表情男が立っていたのだから。
無表情男は、私をジロジロと眺め、少しすると私の手を取った。
そして、一言。



「俺と婚約しろ。なんなら、ここで押し倒してもいい」



なんだこの男は~っ!!??
って、叫びたくなっちゃった☆
イツキくん以上の大胆野郎だなぁ・・・・(汗)
絶対今の私の顔、赤いよ!!
「おいおまえ・・・・・天風指揮官の娘じゃねえか?」
無表情男の隣にいる、ちょっと見下し男がそう言った。
「そうだよ~。そんで、今日からここに通うことになりました」
「キャ―ッ!! かわいぃ~っ!!」
ブリッコ女が、私にタックル―――もとい抱きしめをかましました。
私の首は、そろそろ落ちます。
「ねえねえ、本格的にしまってるよ~♪」
「キャッ☆ 私ったら。ごめんなさいっ」
ワックスで髪を固めた男に注意され、彩香というブリッコ女はようやく離す。
謝り方もブリッコで、むしろ好きになりそうだ。





「えーと。天風未遊です。よろしくおねがいします」
教室に戻った私は、かるーく挨拶を決めました。
みんな、心のこもった拍手をしてくれます。
「それじゃあ、一番右端から自己紹介していけー」
先生の言葉に、一番右端の彼は立つ。

「・・・神時遊馬です。未遊は、一目惚れを信じるか?」
「・・・・・・・・・・・・・・は?」
このクラスは、ミステリアスな人がたくさんいる気がしました。
「真面目な奴は嫌いか?」
「え・・・・えーと・・・・・・・・」
なんていう質問だよ。
なんて答えりゃいいのかわからんよ。
「さっさと座りなよ、遊馬くん」
ふと、助け舟。
おお。あのワックスで髪を固めた方ではありませんか。
「黒魔、おまえこそしゃしゃり出るなよ!!」
「少しは未遊さんのことも考えたら~?」
その言葉に、思わず私のハートはドッキュン☆
え? なに? この感じ・・・・・・。

「次は私ね。雪野彩香でーす!! 未遊ちゃんは、レズが嫌いですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・は?」
最近私、日本語を聞き取る能力が落ちたかな?
「今の時代は同性愛だと思うの。どう?」
「え・・・・えーと・・・・・・・・」
すると・・・・
「彩香ぁ。そういう質問は、男のいないところでやった方がいいよ?」
「え、そうなのぉ? やだ、彩香はずかしいっ!!」
ま、またも助け舟。
やだ・・・・あの人、カッコイイかも。

「あー・・・・俺は魔崎利影。今日、何も予定いれないから、俺の家に来いよ」
「・・・・・・・・・・・・・・は?」
なんか、変なめまいを感じるのは気のせい?
「安心しろよ。テクニシャンだから・・・・・」
「え・・・・えーと・・・・・・・・」
すると、またまた・・・・
「利影くん。もう少し、順序を考えようよ・・・・」
「あ~? んだよ、それ・・・・」
ま、また助けてくれた。
こ、これってまさか・・・・・・・

「・・・・・・東堂細・・・だ・・・・・」
お次は無表情男でした。
すんごい美形。
最強キャラ・桐山といい勝負だよ。うん。
「・・・・今日からおまえは俺のものだ。拒否権は無い・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・は?」
・・・・・・・え? 今の日本語だった?
「こっちへ来い。俺のものだという証しをつけてやる・・・・・」
「え・・・・えーと・・・・・・・・」
「やめなよ細くん。本気で未遊さん困ってるから」
ああ、ありがとう、ありがとう。
まるで私の心の中を読んでいるかのようですね!?って感じ。
やばい、ドキドキしちゃう!!
「・・・・黒魔・・・・・・口を挟むな・・・・」
「嫌だね。だって俺も、未遊さんが好きだから・・・・・」
え? え? えええええっ!?
マジ? マジなのですか!?
「今なら訂正すれば許してやる。訂正しろ」
「い・や・だ・ね♪」
「やめろよ2人とも」
間に入ったのは、イツキくんだった。



なんとキリバンに縁のなかった私が夜闇さまのサイトで2626ヒットとってしまいました~~♪♪
ただでさえくじ運悪く、いつもテッシュ、せいぜい醤油だったので、余計に嬉しかったです。
夜闇さまが書いてらっしゃる、原作キャラ込みのオリバト『王様ゲーム』に登場するオリキャラたちによる逆ハーです。
軍事チーム好きなので、すごく嬉しいです。しかも豪華に前後編。
けっこう細かかった私の妄想を、こんなに素敵に形にしていただけて幸せです。
ああ腹黒い黒魔が可愛くて……これからも暴走してほしいですね。頑張れ!!
夜闇さま、本当にありがとうございました。
どうか、これからも宜しくお願いします。