宅急便「ななしのさーん、お届け物でーす♪♪」
ごんべ「はーい!!」
君はペット
―数分前―
ごんべ「∑きゃっ///カズオ!!めくっちゃだめ!!」
いつものようにごんべのスカートをめくる悪戯っ子カズオ。
金色のふわふわの髪が特徴の、美形な・・・耳が生えてしっぽが生えている、毛並みのいい犬である。
1人暮らしで寂しい生活を送っていたごんべの、1匹目のペット。
ちょっと独占欲が強く危ない性格だが、甘えんぼで可愛いところもある。
ごんべ「///もう!!エッチ!!そこで大人しくしてなさい!!」
カズオ「・・・(ぷー)」
ごんべにちょっぴりしかられ、口をぷぅっと膨らますカズオ。
仕方なく大人しくごんべの後ろにしゃがみこんだまではいいが・・・
台所の戸棚からお皿を取り出すため一生懸命なごんべは、大人しくなったカズオにすっかり油断していた。
ごんべ「えーっと、ミルク用のお皿・・・」
高いところ、しかも奥の方にあるミルク皿を取り出すため、ごんべは上半身を前に乗り出し、腰をぐぐっと曲げた。
カズオ「・・・あとちょっと・・・」
そんなごんべを下から覗き込むように見ているカズオ。果たして何を見ているのか。
ごんべ「取れた!!」
カズオ「・・・見えた」
言葉は違うものの、発したタイミングが重なった2人。
不振に思ったごんべが皿を取りながら言った。
ごんべ「? カズオ、見えたって何が?・・・」
ごんべが振り返ると、カズオは幸せそうな顔をして前かがみになっていた・・・。
そう、なんとカズオはごんべのスカートの中を一生懸命覗こうとしていたのだ。
ごんべと目が合ったカズオがハッとして、一生懸命見てないフリをする。
だが、そんな芝居はごんべにはバレバレである。
ごんべ「・・・カズオ・・・(怒)」
カズオ「何?俺・・・見てない・・・ごんべのパンツ・・・水玉・・・ううん、見てないよ・・・」
ごんべ「∑///バカ!!折角大人しくしてたから誉めてあげようと思ったのに!!もうカズオなんか知らないからねっ!!」
ごんべはスカートを抑えて、怒って自分の部屋に入ろうとした。
どうやら本気で怒ったごんべに対し、カズオは目を潤ませ、ごんべに飛びついた。
ごんべ「∑きゃっ!!」
カズオ「ごんべ・・・ごめんね・・・」
カズオの小さい呼吸音がごんべの背中に響いた。
ごんべ「・・・もうしない?」
カズオ「うん・・・」
ごんべ「じゃあ、いい子にしててね?」
カズオ「わかった・・・」
ごんべはカズオのこの目と行動に弱い。毎回毎回何だかんだ言っても、結局これで許してしまう。
ごんべに許しを得た途端、カズオはニヤリと笑ったが、そのときだった。
ドアのチャイムが鳴っって、あれが来たのが。
これが数分前の出来事。
判子を押し、荷物が入ったダンボールを受け取るごんべ。
ごんべ「♪ ♪ ♪」
いつになくご機嫌なごんべを、カズオが不思議そうに見ている。
カズオ「ごんべ、どうしたの?」
ごんべ「あっカズオ、こないだ言ったでしょ?うちに新しい家族が増えるって。」
カズオ「家族?」
ごんべ「言ったじゃない、知り合いの子猫が生まれてうちで引き取るって。ほら、この子v」
ごんべは先ほど届いた段ボール箱をあけ、中に入っているものを取り出す。
カズオはてっきりそれはお菓子かなんかだと思っていたが、それは違った。
ごんべ「はい、仲良くしてね☆」
カズオ「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ごんべの手には、小さい小さい黒猫の赤ちゃん。
この猫も、カズオに負けず劣らずのかなりの美形である。
ただ、カズオと違って黒髪のオールバック、クールビューティーと言った感じだが。
カズオはその猫を見るや否や、明らかに怪訝そうな態度をとった。
カズオ「ごんべ・・・何、ソイツ・・・」
ごんべ「何って、家族になるの、嬉しいでしょ?」
もちろん嬉しいわけがない。
ペットが増えたら、ごんべに甘えられなくなってしまう。
ごんべに甘えていいのは自分だけだと思っているカズオは、明らかに嫌そうな態度だった。
じろりと、黒猫の和雄(しかも同じ名前)を睨み付ける。
ところが相手もそれは同じらしい。
どうやら和雄も人目でごんべが気に入ってしまい、甘えたいようだ。
カズオの睨みにビクともせず、逆に攻撃を仕掛けてまで来た。
和雄「ごんべ」
ごんべ「ん?どーしたの?」
すると和雄は突然、ごんべの唇をぺろりと舐めた。
カズオ「∑!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
あごが外れそうなほど大口を開けて驚いているカズオだが、ごんべは特に動じなかった。
ごんべ「やん、くすぐったいよ和雄」
和雄「・・・へへっ」
ごんべに抱かれたまま、和雄は見せ付けるかのようにごんべの胸に顔をうずめた。
カズオ(∑!!そ、そこは俺のポジション・・・!!)
カズオは負けじと和雄をふっとばし、ごんべの胸元に飛び込んだ。
和雄「∑!!」
カズオによって弾き飛ばされた和雄の体は思いっきり床に叩きつけられた。
ごんべ「∑キャーッ!!!!!」
カズオ「ごんべvv」
そんなことはおかまいなしに気持ちよさそうにごんべの胸に頬ずりするカズオ。
ごんべは思わずカズオの頭を(軽くではあったが)叩いてしまった。
ごんべ「バカッ!!カズオ、なんてことするの?」
カズオは、ごんべにはじめて叩かれ、唖然としている。
今までどんなことがあっても優しかったごんべが、本気で怒っている。
カズオ「ごんべ・・・痛い」
ごんべ「和雄のほうが、もっともっと痛かったと思うよ?どうしてそんな意地悪するの?」
カズオ「だって・・・あいつが・・・」
一生懸命言い訳をするカズオだが、もちろんごんべはそんなの聞きやしない。
ごんべは悲しそうに和雄を拾い上げ、自室に向かった。
ごんべ「和雄、大丈夫?今薬塗ってあげるからね・・・」
そして、2人はいなくなってしまった。
カズオ(違う、ごんべ・・・)
カズオは、広いリビングで生まれて初めて1人で泣いた・・・。
俺、1人で泣くのはじめてだ
いつも、ごんべがいてくれたから。
辛いときも。苦しいときも。悲しいときも。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―数時間後―
夕食の支度をしに、ごんべと和雄がリビングに戻ってきた。
カズオはそんな2人を見て、ビクッと体を反応させ、目をあわせまいとずっと下を向いていた。
カズオ(ごんべが俺のこと、いらないって言ったらどうしよう。)
ごんべ「カズオ」
カズオ「!?」
ごんべ「ごめんね・・・」
カズオ「!?!?!?!?!?!?」
いきなり謝られ、カズオは目を丸くした。
ごんべ「和雄がね、悪いのは自分だって。カズオは悪くないって言ってたの。」
カズオ「えっ?」
ごんべ「カズオに意地悪させたのは自分だって。」
カズオ「・・・」
カズオは、ごんべの後ろにいる和雄をチロリと見た。
和雄「悪かった これからは、正々堂々勝負しよう」
無表情な表情ではわかりにくいが、しっかりと反省している気持ちがカズオには伝わった。
カズオ「俺も、ごめん・・・」
どうやら和雄も、ごんべがカズオにとられてしまうと思ったらしく、わざと意地悪をしたらしい。
お互いに恋敵で、意地悪をし合ってたのだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ごんべ「仲直りした?」
2人「うん」
ごんべ「じゃ、これからは仲良くね?」
2人「はい」
こうして、ペット騒動は一件落着したかのように見えた。だが・・・
―数日後―
ごんべ「∑///キャーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!」
ソファに2匹に押さえつけられるごんべの姿がありました・・・。
ごんべ「ちょっと!!カズオ何するのよっ!!」
カズオ「ごんべの胸、柔らかくて気持ちいい・・・vv」
ごんべ「///気持ちいいじゃなーい!!重い!!降りなさーい!!」
思わず足をバタバタさせ、無防備になる下半身。
和雄(じーーーーーーっ・・・)
ごんべ「∑///和雄もどこ見てるのよーーー!!!」
何はともあれ、可愛いペットたちから愛のあるセクハラ(笑)をうけているごんべなのでした☆
めでたしめでたし♪♪
終わり
『砂糖菓子』のまりもさまに桐山記念日のフリー夢を頂いてきました。
こんなペットほしいです。かなり本気で(笑)
和雄の黒猫、カズオの犬。ああ、セクハラ受けてもかまわないです。
二人……もとい2匹にだったら、むしろ本望(危険発言か?)
どちらもペット化されているとはいえカワイイです。
まりもさま、素敵な作品ありがとうございました。