「よく帰って来たな歓迎するぜ」
「……川田」
桐山の襲撃により引き離された七原と川田。
いや、そんなことはもうどうでもいい。
こうして再び巡り合えたのだから……。
しかし七原は違和感を覚えた。
何かが足りない――。


「川田……典子は?」




~悪夢PartⅡ~




「とにかく……死ぬかと思ったよ」
七原は川田に全てを話した。
桐山とリアルな鬼ごっこを繰り広げた挙句銃弾を受けたこと。
そして崖から落ちたこと。
意識を失ったこと。
だが自分は生きている。
そう、ありがたいことに生きているのだ、奇跡的に。
「そうか……大変だったな七原」
川田は真剣に話を聞いてくれた。
「怪我はもう大丈夫なのか?」
「ああ……。それより、なあ川田」
七原はずっと違和感を感じていた。
その違和感に気付いたのだ。
そして、その違和感の理由を川田に問うた。


「典子はどうしたんだ?」


典子がいない。川田に託したはずの典子が。
川田は無言のまま茂みの方を指差した。
「……典子?」
そこに典子がいた。横たわっている、冷たくなって……。
「……オレが殺した」
「……か、川田……?」
「…………オレが殺したんだ」
「…………」
川田は淡々と答えた。
まるで何事も無かったかのように……。
「川……田……おまえ、まさか」
「ああ、そういうことだ」

「…………」



















「やっと二人っきりになれたんだな川田」
「ああ、もう邪魔者はいない」



















「うわぁぁぁぁーーーーーー!!!!!」


ガバァ!!七原は飛び起きた。
「良かった。目が覚めたのね」
幸枝が静に微笑んでいた。
「委員長……。中川典子と川田章吾は?」
「典子も川田くんも生きていると思うわ。二人とも名前呼ばれてないから」
七原は心底ホッとした。
良かった……ただの夢だった。




それから幸枝とは色々と話した。
幸枝が何人も仲間を集めたこと。
この灯台に立てこもっていること。
何より七原を助けてくれたこと。
そう助けてくれたのだ、このクソゲームの最中に。
七原はいつか国信に言ったことを思い出した。




『内海は結構いいぜ。オレ、ああいうしゃきしゃきした女好きだ』




委員長、君はきっといい奥さんになる

いや、いい女になる

もうすでにいい女かもしれない

オレはずっと昔から、そう思ってた――。




感傷に浸っている場合ではないが七原は心底そう思った。
もしも、そうもしもこんなクソゲームに投げ込まれなかったら、オレは君の事好きになっていたかもしれないな。
こんなクソゲームの最中だから、そう思うのかもしれない。
でも、少なくても今オレは本気でそう思っているんだ。




「大丈夫よ。ここにいる子たちは全員あたしの友達だから。信用できない?」
「いや、委員長の友達だったら信用できるよ。誰がいるんだ?」
「まずははるかでしょ」
「谷沢か…」
そういえば、幸枝と一番仲のいい友達だったな。
「それから有香に聡美に知里に祐子」
「すごいな、そんなに集めたなんて」
「うん、でもね七原くん。あなた自分の立場わかってる?」




気のせいだろうか?幸枝がニヤっと笑ったような気がした。




「6人の女の集団に若い男が一人だけ……」
「…………」




「ねえ、この意味わかる?」




~END~




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