「さあ今週もやってきました行列が出来るプログラム相談事務所。
まずはゲストの皆さんをご紹介させていただきまーす」
杉村弘樹(大御所席)、月岡彰(熟女席)、七原秋也(イケメン席)、千草貴子(美人席)
そして二段目のイロモノ席には新井田和志、瀬戸豊、織田敏憲、沼井充。
「では我がプログラム相談事務所がほこる史上最強の優勝候補を紹介します」
プログラムに笑顔はいらない冷静沈着・桐山和雄
スケ番出身のプログラムの母・相馬光子
茶髪の風雲児・三村信史
プログラムに魂を込める男・義理と人情の川田章吾


行列が出来るプログラム相談事務所


「今回はゲストだって訴えてやるぞスペシャルでーす。
では、今回の相談者の方どうぞ」
「はい!」
新井田が元気よく手を上げた。
「新井田さんは一体誰を訴えたいんですか?」
「この女ですよ!!!」
新井田はこともあろうに貴子を指差した。
「とにかく慰謝料貰わないと気がすまないんです。
と、いうわけでVTRスタート!!」


――VTR――
N『今回の相談者は新井田和志、中学三年生。彼には実は好きな女性がいた』
「……いつ見てもいい女だなぁ」
新井田、柱の影から教室を覗き込む。
N『そう学校一の美少女・千草貴子である。しかし貴子のそばには常に杉村弘樹という男がいたのだ。
二人はいつも一緒ですでにクラス公認のカップルだった』
「貴子、すまないな」
「なにが?」
「オレと噂になっておまえ迷惑してないか?」
新井田、驚愕の真実を知る。
N『なんと二人が付き合っているというのは噂だったのだ。それを知った新井田はほくそ笑んだ』
「杉村め……ざまーみやがれ!!おまえも千草の怒りに触れるんだっ!!!」
N『新井田がこれほどまで喜ぶのはある理由があった、それは二年前のことだ』


――二年前――
「ちょっと、いい加減付きまとわないでよ!!」
「冷たいなぁ……オレたちお似合いだと思うのに」
「ふざけないでよ!!!」
N『新井田は同じクラスだった貴子にしつこくアタックしていた。
そんな新井田の行為がクラスメイトたちにある誤解を生んでしまったのだ』
「新井田、おまえもしかして千草と付き合っているのか?」
「いつも千草と一緒だもんな」
「え?」
「なあ、どうなんだよ」
「それはだなぁ……ま、想像におまかせするよ」
「やっぱり、付き合っているのかよ。ちくしょー、いいな」
N『これがきっかけで二人が付き合っているという噂は広まった。その数日後……』


「ちょっと」
「なに?」
「どういうことよ。あんたとあたしがどうして付き合うなんて話になるのよ」
「え?……えーと、その……」
「あんたと付き合っているなんて思われているなんてあたしのプライドずたずたよ!!」
「そ、そんなこと言われても……あ、あいつらが勝手に噂していることであって……」
「言い訳無用よ。これは立派な名誉毀損罪よ!!
慰謝料、たっぷり払ってもらうわよ!!!!!」
N『こうして新井田は貴子に名誉毀損の慰謝料として10万円支払う羽目になったのだ』


「くくく……杉村ぁぁ!!!オレと同じ苦しみを味わうがいい!!!!!」
しかし!
「別にかまわないわよ。言いたい奴には言わせておけば。
そのうちに飽きて何も言わなくなるだろうから」
「そうか、悪いな貴子」
「!!!!!」
新井田、思わず飛び出す。
「おい!!千草、どういうことだっ!!!!!
オレとの噂のときは名誉毀損だってわめき散らしておいて
杉村との噂は全然怒らないなんて、オレをなめてるのかっ!!!?」
N『激怒する新井田。しかし貴子は全く悪びれずに驚くべき一言をはなった』
「あんたと弘樹とじゃ次元が全然違うのよ!!!」
N『この言葉に新井田は切れた』
「ふざけやがってっ!!!おまえがしたことはオレに対する侮辱罪だっ!!!
慰謝料、払ってもらうからな!!訴えてやるっっ!!!!!」
N『こうして新井田は自分との噂にだけ激怒した貴子の行為は侮辱罪にあたるとして慰謝料を請求。
ここで今回のポイントを整理してみよう』


①『新井田は二年前に貴子と噂になり、その慰謝料として10万円支払った。
②『しかし同じように噂になった杉村には全く怒ってない』
③『貴子と杉村は実際に仲がよく噂されても仕方ない状況だった』
④『しかし新井田に対しては貴子は異常なほど嫌悪感を抱いていた』


「さあ、どうですか皆さん」
杉村「どうして貴子が訴えられるんだ?貴子が白だといえば黒でも白い。
全面的に新井田が悪いじゃないか。
はっきりいってオレにとっては新井田と同じ扱いしろといわれたことが侮辱なんだが」
新井田「杉村、てめえっ!!!!!」
月岡「そうよねー、だって相手は新井田くんでしょ。同じ女として貴子ちゃんの気持ちわかるわぁ」
新井田「オカマぁぁーー!!!」
七原「なんでみんな簡単に訴えるんだよ!!」
新井田「ダメだ問題外だ」
「えー、じゃあ結論から行きます。慰謝料取れると思う人、手を上げて」
なんと不細工……失礼、ちょっと顔が他人より劣る織田しか手を上げてない。
同じモテない男して同情したのか?
「さあ、あなたの真実は?」


桐山、光子、川田が慰謝料取れない。
三村は慰謝料取れる。


「桐山先生、取れませんか?」
「オレはコインを投げたんだ。表が出れば慰謝料取れる。
裏が出たら慰謝料取れない。
だが、今回に限っては裏表関係なく新井田に勝ち目はないと思った。
オレは間違っているのかな?」
「いいえボス!!完璧です!!」
ゲスト席から沼井が一人スターディングオベーションしていた。
「光子先生もですか?」
「新井田くんに慰謝料やるくらいなら保険金かけて殺してあげるわよ。
あたしのためなら何でもするって男いっぱいいるし。
もつべきものは保険会社の社長やってるパシリよねー」
なんだか光子は恐ろしいことをサラッと言っていた。
「法律に人情論を持ち込む川田先生でも慰謝料とるのは不可能ですか?」
「あのなぁ……」
川田は煙草をくわえると煙を吐いた。
「こんなバカな訴え認めていたら大東亜共和国はアメリカの10倍訴訟天国の無法地帯になるぞ。
全面的に千草の意見が正しいだろう。新井田には情状酌量の余地が一切無い」


この三人に対して三村一人が新井田を弁護。
はたしてどう切り抜けるのか?


「そんな中、三村先生一人が慰謝料取れると言ってます」
「当然だろ。これは女のわがままだ、はっきり言って男を差別してるんだよ」
「その通りっ!!!」
新井田が立ち上がって万歳している。
「第一、男が強引に迫って何が悪い?男は多少危険なほうが魅力的なんだ。
オレが証明してやる。例えばバトロワで言えば危険な男といえば
桐山(原作)、桐山(映画)、オレ。この三人だろ。
逆に優しくて安全な男代表は豊、滝口、山本だ。
この二組比べてみろよ。どっちが男として魅力的かは一目瞭然!!!」
会場は思わずおお!!とざわめいた。
杉村「た、確かに……三村の言うとおりだ」
七原「……女性ファンは必ずと言っていいほど前者選ぶもんな」
沼井「当然だろ!!ボスは最強だ!!」
織田「……ふん、下品な連中め(ちっくしょーー!!範疇一顔のいい男どもめ!!)」


ここにきて三村一気に有利。このまま押し切るのか?


「何、三村くんに騙されているのよ。これだから男は単純なのよねー」
そういったのは自称レディこと月岡彰。
「新井田くんは危険な魅力をもった男じゃなくて、単なる危険人物じゃない。
一緒にしちゃあ桐山くんが可哀相よ。
第一、三村くんが新井田くんの肩もつのって貴子ちゃんに相手にされなかったからでしょ?」
「なんだと!!?」
と、月岡ここで衝撃の告白。
「アタシ知ってるのよ。貴子ちゃんって三村くんのタイプなのよ。
でも貴子ちゃんは杉村くんに悪い影響与えそうって理由で三村くんのこと嫌ってるの。
だから新井田くんに妙な仲間意識もって庇ってあげたくなったんでしょう?
もう子供なんだから。でも、なんだかカワイイのね!」
月岡の証言により先ほどの弁護が一気にトークダウンした三村。


結論。新井田が貴子から慰謝料をもらえる可能性は?
ピピピピ……5パーセント。
たとえもらえたとしてもせいぜい1000円。
はっきりいって泣き寝入りしたほうがいいでしょう。


~完~


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