ミーンミーン……
「……う…ん……あー、よく寝た」
……あれ?
私のベッドって、こんなに大きかった?
私の部屋の天井って、こんな色だった?
それに……どうして目の前に和雄がいるの?
?????←考え中
「……ッッッッ!!!!!!!!!!」
夏の思い出
な、なんで?!!!!
なんで和雄がッ!!!!!
美恵は完全に覚醒した。そして目眩がした。
か、和雄……なんで裸で寝てるのッ!!!!!?
って、いうか、どうしてベッドで仲良く枕並べて……!!!!!
ま、まさかッ!!!!!
ああ、思い出せないッ!!!!!
神様ッ!!もう一言OKですかぁぁぁッ!!!!!
何も覚えていない。いや、それ以前にパニック状態で何も考えられない!!!!!
美恵は飛び起きた。
「……あれ?」
白いネグリジェ。それも随分と高級そうな。第一、自分のものではない。いつも着ているのはピンクのパジャマだ。
この状態で今だに熟睡している桐山に目をやった。
上半身は裸だが、ちゃんとジーンズをはいてる。
そこで改めて周囲を見渡した。広すぎる寝室。まるで我が家が、すっぽり入りそうだ。
そう、ここは自分の部屋ではない。
「……えっと…」
美恵は、とにかく記憶の糸をたどった――。
「そうだ……私、和雄に呼ばれて……」
「お邪魔します」
美恵は緊張の頂点だった。恋人の桐山にと一緒に夏休みの宿題をやろうと誘ったら、桐山邸に招待されたのだ。
そう、桐山の家に来たのは、これが初めて。しかも想像以上にすごい。
城岩町一の金持ちとはわかっていたが、まさかこれほどとは……。
5000坪の敷地に、お城じゃないかしら?と言わんばかりの豪邸。かしずく使用人も一人や二人じゃない。
私、もしかして、ものすごいひととお付き合いしてるんじゃ……。
「ここはⅩを代入するんだ」
「あっ、そうか。やっぱり和雄は頭いいね」
桐山のおかげで、かなり宿題がはかどった。やっぱり来てよかった♪
「そろそろ、休むか?」
「そうだね。あれ?」
窓から、庭をみた美恵は驚愕した。
「すごい、プールまであるんだ」
「泳いでみるか?」
「えっ、だって私、水着もってないよ」
「その心配は必要ない」
そう言うと、桐山はタンスから、かなり大胆な水着をだした。
「彰がいざという時の為に用意しろといったんだ」
「いざという時って……それに露出度高いよ、それ……」
「ああ、笹川に選んでもらったんだ。いけなかったかな?」
笹川竜平ッ!!!あのスケベ男がぁぁぁッ!!!!!
「うーん、やっぱり広いと気持ちいいよね♪」
先ほどの文句は、どこへやら。結局、美恵は例の水着を着て、プールではしゃいでいる。
それにしても……やっぱり和雄って、かっこいいよね。
水で濡れた前髪がおりて。いつものオールバックも、かっこいいけど、あの髪型も素敵。まるで夢の国の王子様みたい。
誰かが聞いたら、はぁ?寝ぼけてんのか?と突っ込まれること間違いないな……。
とにかく、美恵は、はしゃいでいた。と、いうかはしゃぎすぎた。
そこまでは覚えている。その後、確か部屋に戻って勉強再開して……だめだ、思い出せない。
そこで記憶が途切れていた。
とにかく……。
美恵は、再び桐山を見た。まだ寝ている。ひとの気も知らないで。
(とりあえず、このまま一緒のベッドにいるわけにもいかないよね)
美恵は、そっとベッドから抜け出そうとした――。
「……え?」
突然、手を握られた。
「……どこに行くんだ?」
「お、起きてたの?」
「いや、美恵が出ようとしたから目覚めたんだ」
「……ど、どこって……そ、そんなことより!!」
「なんだ?」
「ど、どうして私が和雄のベッドで寝ているの?!!」
そうだ、それが一番重要なことだろう。
「どうして、和雄が一緒に寝てるのよ!!!?」
「聞いてくれるかな?」
美恵とは反対に、平然としている桐山。
「勉強を再開して数秒で寝ただろう?」
「私が?」
ああ、そう言えば、その辺りから記憶がない。おそらくプールで遊びつかれて、そのままバタンキュー状態。
「とりあえずベットに寝かせようと思った。女中にネグリジェを買いに行かせて、オレがベッドまで運んだ」
とりあえず身に覚えのないネグリジェの謎は解けた。
「しばらく美恵の寝顔をみていた。なぜかはわからないが、悪くない気持ちだった」
美恵は耳まで真っ赤になった。
「しばらく見ていたら、美恵と一緒に寝たくなった」
「え?」
「それも悪くないと思ったんだ」
「…ちょ、ちょっと待ってよ……」
「もしかして、いけなかったのかな?」
いいわけねーだろッッ!!!!!!!!!!
「……………」
「美恵はオレと寝るのは嫌だったのか?」
「……そ、それは……」
「はっきり言ってくれてかまわない」
「あ、あのね和雄……嫌とか、そういう問題じゃ……」
「オレの事が嫌いなのか?」
珍しく真剣な表情の桐山。美恵は胸が痛んだ。
山ほどあった文句も記憶喪失のように消滅。
「……嫌いなわけないじゃない」
「そうか、それなら問題はないわけだな」
「そ、それは……そうかも知れないけど……でも和雄……」
そう……添い寝までは許せても一つだけ、うやむやに出来ないことがある。
「……どうして上半身裸なのよ」
嬉しいけど←おいっっ!!!!!!!!!!!
「オレは、寝る時はいつもこうだ」
なんだ単にアメリカスタイルだっただけか……ちょっと残念…って、何考えてるのよ私は!!!←全くだ
「特に問題はないと思うが」
大アリだよッ、あんたッッッ!!!!!!!!!!
その後、宿題を再開させた2人だったが、美恵は耳まで真っ赤になって、宿題どころじゃなかった。
「あっ、もう、こんな時間。帰らなきゃ」
「そうか送るよ」
「え?いいよ、そんなことしなくても」
「オレがそうしたいんだ。それに最近は危ない奴が多いからな。オレには美恵を一生守る義務がある」
「……えっ?…い、一生……?」
「そうだ。支度をするから少し待っていてくれ」
そう言って、桐山は私室に行ってしまった。
一生……一生……一生……←エコーしている
ねえ、和雄…それって、言葉のあやなの?
……それとも……
……私、期待していいの?
夏真っ盛り。それ以上にお暑い夏の日でした
~END~
~おまけ~
コンコンッ、ドアを叩く音
「はい」
「お邪魔します」
年配の女性が入ってきた、おそらく女中頭だろう。
「若様は間もなく来られます。ああ、そう言えば、ネグリジェはサイズ大丈夫でしたか?」
そこで美恵は、あの白い高級ネグリジェのことを思い出した。
そうか、このひとが買って着替えさせてくれたんだ。お礼いわないと……。
「はい。あの、着替えまでしてもらって、すみませんでした」
「お気になさらないで下さい。第一、私はネグリジェを買ってきただけです。
後は全部、若様がやられましたから」
「………え”?」
知らなくていい事まで知ってしまった美恵……
……その後、桐山の顔を見た途端、気を失ったことは言うまでもない
メデタシメデタシ