……スヤスヤ、夢の中。まるで眠り姫だ
美恵 どうしたんだろう?
クラスメイトたちは皆、心配した
真面目な美恵 が授業中居眠りなんて




動物のお医者さん




職員会議とやらで、担任の林田はいない
しかし、いつもの美恵 は実習と云えどもさぼった事は一度も無いのだ
それなのに、今朝から上の空
で、今は熟睡。よほど疲れているのだろうか?




「……ん…ダメよ……」
どうやら寝言らしい。先生もいないことだし、寝かせてやろう
クラスメイトたちは、そう思った。美恵が
「……シンジやめて……」
と、言うまでは!!!!!




「……やめてシンジ……ダメ…」
……シーン……
クラスの視線が、美恵と三村を交互に見ている
数秒後、美恵に想いを寄せる男子生徒たち数名
そして、固い友情で結ばれた2人の女生徒(プラス、オカマ1名)が
恐ろしい形相で立ち上がっていた




「……シ、シンジ、まさか…そういう関係なの?」
豊が恐る恐る質問する
「ま、待てよ豊!!まあ、これからなる予定だけど」
あせる三村、つかつかと近寄ったと思うと、襟首を持ち上げる桐山
「……美恵に何をした?」
「お、おちつけよ桐山。オレは『今はまだ』何もしてないぜ」
「嫌がる天瀬に変なマネしたんじゃないだろうな!!」
沼井乱入。おまけに
「いい度胸じゃないの。弘樹!片づけてやりなさいよ!!」
「もちろんだ貴子」
普段は大人しい杉村。その目は嫉妬と復讐で燃えている
しかし!!!!!




「……ヒロキ、いつから…そんなこと……」
……シーン……
「弘樹、あんた、あたしを裏切って美恵に手を出したのね」
「……ち、違う!!話を聞いてくれ貴子!!」
おまけに
「……ミツル…相変わらず……強引…ね」
ガシャーーーン!!!!!
次の瞬間、窓ガラスを突き破り、外に吹っ飛ばされる沼井
吹っ飛ばした相手が桐山だと言う事はいうまでもない




「……シューヤは、いい子ね……ご褒美あがる…」
「七原ぁ!!おまえ裏で、オレの美恵に!!」
「三村!!おまえに言われる筋合いはないぞ!!」
「……タカコ……」
「えっ、あたし?」
「……お願いだからカズシと仲良くして……」
奈落の底に落ちる貴子!!
「……ミツコ……」
美恵っ!あたしはここよ!!」
「……ダメじゃないの……いじめちゃ……」
いじめる?
もしかして、旗上の恥ずかしい写真をネタにゆすった事かしら?
「……ショーゴ……」
「お、おれか?」
「……みんなと仲良くしな…きゃ…世話のやける子……ね」
「……川田、いつから美恵の世話になっていた?」
「おちつけ桐山!!オレには全く覚えがないぞ!!」




「……リューヘイも……ヒロシも…悪い子なんだから……」
ガシャーーーン!!!!!
先ほどの沼井同様、窓ガラスを突き破り、吹っ飛ばされる笹川と黒長
吹っ飛ばした相手が桐山だと言う事はいうまでもない
「ショウは……シンジいじめちゃ……ダメよ……」
「もうっ、失礼ね。愛し合ってるのよ」
「……どうして……ユタカや、ユウイチロウや……ユキエみたいに……いい子にして……うーん」
そこで、やっと目が覚める美恵
「よく寝た……あれ?みんな、どうしたの?」




「あ、あのね美恵 ……その、さっき寝言で聞こえたんだけど」
委員長の幸枝が困惑気味の表情で話す
「……寝言?もしかして何か言ったの?」
「うん、あの、どういうことなの?」
「うん、あのね。実は……」



















放課後、美恵の部屋
桐山、三村、七原、杉村、川田、月岡、沼井、笹川、黒長、貴子、光子、幸枝、豊、滝口
と、これだけ入ると狭いものだ。




「……これ」
美恵が運んできた水槽。その中には。
「あれっ?これって、スナネズミだよね」
「滝口くん、知ってるの?」
「うん、オレ『動物のお医者さん』もってるから」
さすがはオタク少年。いや、そんな事はどうでもいい




「ドラマみて、ペットほしくなって飼ったの。でも……」
20匹くらいはいるだろうか?
「すぐに赤ちゃんが生まれて、ねずみ算式に増えて……」
エサ代もバカにならないな。みんな、そう思った
「名前考えるの面倒だから、皆から名前貰ったの」
「じゃあ、寝言で言ってたのは?」
「うん、この子達のことなの。みて、この子がシンジ」
そう言われても、まるで見分けがつかない……




「いい奴なんだけど問題児なの」
……なんか面白くないな(三村)
「一番チビのユタカ。シンジと仲がいいの」
チビって……美恵ちゃん、あんまりだよ(豊)
「強いくせに、引っ込み思案のヒロキ」
オ、オレのことなのか?(杉村)
「ヒロキを尻に轢きまくってるメスのタカコ」
……人事とは思えないわね(貴子)
「タカコに嫌われまくってるカズシ」
まあ、当然ね(貴子)
「本当はイイ子だけど乱暴なミツル」
うっ…!他人とは思えねぇ(沼井)
「ミツルとつるんでる乱暴者のリューヘイとヒロシ」
乱暴者……なんかなぁ(笹川、黒長)
「色気で、オスたちを服従させてるミツコ」
あら、親近感わいちゃうわね(光子)
「一番イイ子のユウイチロウ」
一番なんて、嬉しいなぁ(滝口)
「いつも一人ぼっちで、老けてるのがショーゴ」
おいおい、老けてるはないだろ?お嬢さん(川田)
「オスのくせにシンジを追いまわしてるショウ」
まあ、応援してやりたいわ(月岡)
「井戸端会議ばかりしているメスたちよ」
名前はノリコ、ユカ、サトミ、ハルカ、カヨコ、イズミ、チサトとか
「そのメスたちのリーダー格のユキエ」
他人とは思えないわ(幸枝)
「メスにばかり甘いのがシューヤ」
美恵さん、それって……(七原)




「でも、そんなに、たくさんいたら大変でしょう?」
「うん、昨日も水槽引っくり返して、捕まえるのに時間かかって」
そうか、それで疲れて居眠りなんか……
皆、急に美恵が気の毒になってきた。その時だ




美恵。オレの名前を付けた奴はいないのかな?」
その場にいた全員が振り返った
「……桐山くん」
「カズオはいないのか?」
「……うん、だって」
桐山は、なんとなく寂しそうだった。しかし……




「だって、ペットに好きな人の名前は付けれないよ」
「「「「「「「「「「「「「ええっ!!?」」」」」」」」」」」」」
「あ!……ご、ごめんなさい。変な事言って。忘れて」
焦る美恵。しかし……
「忘れない」
美恵をギュッと抱きしめる桐山
「……き、桐山くん///」
「「「「「「「「「「「「「っっ!!!!!」」」」」」」」」」」」」




スナネズミが運んだ恋
これも一種のハッピーエンド?




余談だがスナネズミはそれぞれ同名の者に引取られた
美恵の負担は軽くなり、時々桐山とデートを楽しんでいる




メデタシメデタシ