美恵ーー!!」
小悪魔のような光子。
女子不良のリーダーの光子。
でも今では、もう一つの代名詞がつく。


美恵の大親友の光子』――と。




スクール・ウォーズ




「今日も可愛いわね、美恵」
「そう?光子だって、すごく愛らしい美人じゃない」
美少女2人が抱きしめ合うのは絵になる。
旗上や新井田などは別の意味で萌えている。





ああ、何て可愛いの美恵
倉元に出会って変われるような気がしたっていった好美の気持ちがすごくわかるわ
もっとも、あたしの美恵は、あんな男とは比べ物にならないくらい綺麗で純粋だけどね
学校内には、美恵に惚れてる男が大勢いるけど安心して あなたの周りをうろつく害虫は全員あたしが退治してあげるから






ちなみに美恵は校内一モテる少女だ。
しかし、不思議なことに、その気持ちを美恵に告白することなく、彼等は美恵をあきらめている。
なぜなら……光子の言うことなら何でもきくという奴等が星の数ほどいるからだ……(汗)
そんな光子の力を持ってしても排除できない五人の男がいた。



美恵さん、オレきみの為に新曲作ったんだ。聞いてくれないかな?」
「……ごめんなさい七原くん。幸枝たちの目線が怖いの」


天瀬、これオレのお気に入りの中国の詩集なんだが、よかったら読まないか?」
「……うーん、そういうのは、あんまり興味ないから。 ごめんね杉村くん」


「お嬢さん、よかったらオレが作った弁当食べてみないか?ふぅ」
「ありがとう川田くん、でも教室の中でタバコはよくないよ」


「今日も綺麗だな、オレの愛しのベイベェ。今夜は離さないぜ」
「やめて三村くん!!親衛隊から殺気が来るじゃない!!」


美恵、聞いてくれるかな? 美恵の事を考えるだけで胸が痛い。
美恵にはオレ以外の男と口もきいてほしくないと思うんだ。
この気持ちを何ていうのかな?知っていたら教えてくれ」
「……あ、あの……それは……」
好きだと言うことよ、なんて答えられるはずも無い。
とにかく、これ以上ないくらい赤面して俯く美恵に光子の怒りは爆発した!!




あたしの美恵に手を出すなんていい度胸じゃない!!!
こうなったら5人まとめて合法的に葬ってあげるわッッ!!!!!




「ねえ、みんな美恵が好きなら証拠を見せて」
「「「「「証拠?」」」」」
「そうよ。愛って戦って勝ち取るものでしょ。 だから戦いなさいよ」



















――1週間後――


「レディーズ&ジェントルマーン!!本日快晴、絶好のバトル日和よねぇ。
アタシ、実況のヅキこと月岡彰。よ・ろ・し・く・ね。チュ」


おぇぇぇ~~!!!!!←男子生徒たちの心の叫び


「で、こっちは解説の新井田くん。よろしくね」
「あー、めんどくさい」
「では美恵ちゃんをかけたバトル、まず最初に選手にゅーじょぉぉぉーー!!!!!」
5人の勇者(?)が登場。
「さあ、はたして誰が優勝するのかしら? 5人がどのくらい強いのか、このパンチマシンで試してもらいましょ。
じゃあ代表して七原くん、どーぞぉー!!」
「よーし!!」
いつになく張り切る七原。 思いっきりマシンにパンチを食らわした。
ピピピピピ……100ポイント。
「すごーい七原くん。さすがはスポーツマンね」
「それほどでも」
「あ、そうそう。参考までに言っておくけど、昨日他の四人にも試してもらったの。
そしたら四人ともパンチマシンをコナゴナに破壊したのよ。
これじゃあ計測できないでしょ?だから七原くんに代表してもらったのよ」


「!!!!!!!!!!」←七原の心の叫び


し、しまったぁーーー!!!!!
そ、そういえば、オレはスポーツは出来るがケンカは専門外!!!
この中では一番弱かったんだぁぁーー!!!!!
って、いうか他の四人は人間じゃないッッ!!!!!




「じゃあ早速第一回戦は七原くんVS桐山くんよぉぉーー!!!!!」


「!!!!!!!!!!」←七原の魂の叫び


「ちょっと待てよ!!!どう見ても差がありすぎるぞ!!! ハンデくれよ、ハンデッ!!!!!」
「しょうがないわねぇ、じゃあ七原くんには特別に助っ人よ。 七原ガールズの皆さんご登場ぉぉーー!」


え?女の子? いくら5人もいるとは言え桐山相手に女の子じゃ……
でも待てよ、いくら桐山でも女の子相手に乱暴は出来ないよな
そうだよ女の子を殴れるわけがない
だったらオレにも勝ち目あるかも……。


桐山はスッとリングに上がった。そして言った。
美恵以外の女なら殴れる」


……シーン……


七原ガールズは蜘蛛の子散らすように逃げ去っていった……。




「あーら、結局七原くん一人で戦うことになったわね。 解説の新井田くん、この後の予想は?」
「火を見るよりあきらかだろ」




……その通りだった。

七原敗退――残り四人。














「次は杉村くんね」
「よし、相手が三村だろうと川田だろうとオレは負けない。 どこからでもかかって来い!!」
「そうさせてもらうわ弘樹」
「え”」
「いいぞぉーー!!!千草ぁぁぁーー!!!!!」
貴子のレオタード姿(正確に言えば女子プロスタイルなのだが新井田にはそう見えた)に燃えまくる解説・新井田。
「あらあら、これはどういうことかしら? 主催者の光子ちゃん、説明して頂戴」
美恵の操を守る為にって言ったら喜んで協力してくれたのよ」




「じゃあ行くわよ弘樹。あんた、あたしに誓ったわよね、強い男になるって。
どのくらい強くなったのか、あたし自身が確かめてあげるわ」
「……た……貴子……」
「じゃあ解説の新井田くん、この後の予想は?」
「うぉぉぉーー!!!身体の線がよくわかるぜぇッ!!!!!」
「ちょっと、予想よ、予想」
「そんなもん決まってんだろ。それより、もっと近くで見てぇ!!」


ファイト!!


「この裏切り者ぉぉーー!!!!! あんただけは他の男とは違うと思っていたのにぃ!!!!!
幼馴染のよしみで、その根性、あたしが叩きなおしてあげるわ!!!」
「すごわぁ!!千草選手のエビゾリ固め完璧に決まってるわよぉ!!
優勝候補の一角、杉村選手。まさかの大苦戦!!
って、いうか全然反撃してないじゃない!!
ほとんど夫婦喧嘩の域まで達してるわぁぁーー!!!」
「……ギ、ギブアップ……」


杉村敗退――残り三人。














「さーて、次はいよいよ川田くんと……ウフフフフーーー!!!
三村くぅぅぅーーーん!!!頑張ってねぇぇーー!!!!!」
「……月岡、おまえに応援されてもなぁ……」
「フフフ」
光子が怪しい笑みを浮かべて立ち上がった。 そして何やら三村に耳打ちしている。
「そうなのか?」
「そうよ、知らなかったの?」
さらに川田にも同じように耳打ちしている。
「……なるほど、確かに一理あるなぁ」
「でしょ?頑張ってね」


ファイト!!


「オレが勝たせてもらうぜ川田!!! 受け取れ、特別プレゼントだッッ!!!!!」
何と三村はベレッタを取り出した!!
「悪いが容赦なくやらせてもらうぞ三村!!」
何と川田はレミントンを取り出した!!


「ブー、ハイ二人とも失格よ」
「「え?」」
三村と川田は呆然と月岡を見詰めた。
「聞こえなかった?失格よ、しっ・か・く・よ」


……シーン……


「ちょっと待てよぉぉーー!!!話が違うぞッ!!!!!
相馬は、このゲームはルール無用で何でもありって言ったんだぞ!!!!」
「そうだ!!オレも確かに聞いたぞ!!反則はありませんってな!!!」
「確かに光子ちゃんの言うことは本当よ。この試合にルールは無いわ。
でもね……二人の場合は銃刀法違反、つまり犯罪だもの。
試合関係なくハイさよならってわけ」
「「相馬ッ!!騙したなあぁぁーー!!!!!」」
「あーら、騙されるほうが悪いのよ」

三村、川田敗退――残り一人。















「……これで残るは桐山くんだけね」
光子はカマを取り出した。
「あたしに勝ったら美恵と付き合うことを認めてあげるわ。 でも、あたしは負けないわよ!!」
光子はカマを振りかざしながら攻撃してきた。


(……光子…!)


ガシッ! だが桐山は光子の腕を掴み上げ、呆気なくその攻撃を止めた。
「まだ他にも武器はあるのよ!!」
今度はスタンガンだ! あたしは負けないッ!!絶対正しい!!
美恵、あんたは絶対にあたしが守ってあげるわッ!!!


(……光子!!)


「あたしは奪う側にまわった人間よッ!! そのあたしから美恵を奪おうなんて絶対に許さないわッ!!!」
桐山はスッと銃を取り出した。
「もうやめて二人ともッ!!!!!」
そのまま行けば間違いなくどちらかが死んでいただろう。 が、二人の間に誰かが割って入っていた。
桐山が奪おうとし、光子が守ろうとした人間。 そう……美恵だった。




「もうやめて!!私の為に戦わないでッ!!! 光子も桐山くんも大切な友達だものッ!!!
二人が戦うなんて……お願いだから……やめて……」
「「……美恵」」
泣き崩れた美恵を見て二人は静かに武器を捨てた……。



















――数日後――

美恵、送っていくよ」
「ありがとう桐山くん」
光子と桐山の間では和議が成立し、美恵は月水金は桐山と、火木土は光子と過ごすことで一致した。
こうして平和が訪れたのだ。




――しかし……。

「桐山くん、あたしが作ったクッキー良かったら食べてね」
そう言って光子は桐山にクッキーを押し付けて去っていった。
「いいなぁボス。オレもほしいよ」
「やろうか黒長」
「いいんですか?ありがとうございます、うん美味い……ウッ!!」
倒れこんだ黒長を見て、沼井と笹川は真っ青になって震えていた……。




「ごめんね桐山くん、やっぱり、あたしは奪う側の人間なのよ。 独り占めしたくなっちゃたのよねぇ」
そのころ、光子は歩きながら独り言を呟いていた。

……そう、二人の闘いはまだ始まったばかり。




~END~