「ねえ人生ゲームしようか?」
それが全ての始まりだった。
美恵、人生ゲームとはどんなものなのかな?」
それが事の発端だった。
「あのね、最後に大富豪になったひとが優勝するゲームよ」
「そうか、優勝したら賞品は何がもらえるのかな?」
「……優勝賞品と言っても……桐山くんが喜ぶようなものは……」
「オレは美恵とデートしたい」
「え?」
「「「「「「その話乗った(わ)ーーッッ!!!!!」」」」」」
こうして楽しい(邪まな)ゲームは開始された。




~人生ゲーム~




「じゃあ始めましょう」
TVゲーム『人生ゲーム』をセットする美恵。 美恵は本当に楽しそうだったが、他の連中はまるで獲物を狙うハイエナのようにギラギラした目つきだった(汗)




三村(フフフ、ついにこの時が来た。堂々と美恵をホテルに誘える日が)
七原(初デートかぁ……手を握るくらいならいいよな。あわよけばキスも……上手くいけばそれ以上も……)
光子(あたしのマンションに連れて行って監禁……じゃなくて保護してあげるわルンルン♪)
杉村(……もう新井田にバカにされることもない。初めてだから上手くできるだろうか?)
貴子(あたしが美恵を守るのよ。たとえ弘樹だろうと一切容赦しないわ)
月岡(もう最悪ね。やっぱりアタシしか常識人いないのかしらぁ?)
桐山(優勝したら、すぐに籍をいれよう。挙式は和式と洋式どちらがいいだろうか?)




「みんな頑張ってね」
美恵の声援。
それすらも火に注がれる油だった(汗)
「よし、まずは学校だな」
社会人ではないから適当にやれと侮るなかれ。
この学生生活は結構重要だった。
いい成績をとって大学にいけば、社会人になったとき給料が高いのだ!!




「すごい三村くん、一流大学卒業だね」
「フフ、まあな。このゲームは得意なんだ」
「本当に得意みたいね。現実とは大違いだわ」
「本当ね。バーチャルの世界のみ優等生なんて、ある意味虚しくない?」
「……千草、相馬。おまえたちオレに恨みがあるのか?」
とにかく全員学校を卒業、社会人になった。
これからが本当の勝負!!
そう金を稼いで稼いで稼ぎまくるのだ!!!!!




「よし、まずは就職先だな」
杉村は手堅く会社員になった。
「あーら、もっと簡単に稼げるのに」
光子は……資産家の二号さんになっていた(汗)
「さてと、次はお金出させてマンション業でも営もうかしら」
ゲームの世界とはいえ……恐ろしいほどリアルなものがそこにはあった。
「あたしは自営業に挑戦するわ」
貴子は就職せずに店をだした。
「アタシもお水でかせがなきゃ♪」
月岡は……やはりゲイバーだった。
「オレは野球選手がいいな……」
七原は趣味も兼ねて、ちょっぴり冒険することにした。
「オレはフリーのプログラマーだ。一気に儲けてやるからな」
三村は実はこのゲームは得意中の得意。
そう、勝つためのコツを知り尽くしていたのだ(汗)
「ところで桐山くんは、どこに就職するの?」
そう、桐山はまだ就職先を決めてなかったのだ。
「わからないんだ。オレはTVゲームなんて初めてだからな」
そしてコインを取り出した。
「オレはこれで決める。表が出たら会社員、裏が出たらフリーターだ」


裏…だった(汗)


そんな桐山に三村が追い討ちをかける。
「き・り・や・ま。やっぱり家やクルマ買った方がいいぜ」
「だが金がない」
「大丈夫だ。オレがいい方法教えてやる」
こともあろうに三村は消費者金融業を紹介した。


『キリヤマカズオ財産3万円。借金5000万円』


TV画面には、そんな無情な表示がでた……。




「桐山くん最下位になっちゃったね」
「ああ、そのようだな。オレ一人が貧乏で、おまえたちは全員金持ちだ」




「こういうのを羨ましいというのかな?」




三村(何でだ?)
七原(…何でだろう?)
光子(理由はないけど……)
貴子(理屈じゃないわね…)
杉村(…どうしてかな)
月岡(……よくわからないけど)




((((((すっげー、むかつくッッ!!!!!!))))))



















とにかく、こんな調子でゲームは進んだ。
杉村は堅実すぎる人生を送り、借金もないが莫大な財産も無かった。
貴子はブティックを繁盛させ、結構な財産を作っていた。
月岡はゲイバーが成功したのに気をよくし「こうなったら油田掘り当てるわ~」と無謀な挑戦。
全財産をつぎ込み、油田発掘業を始めてしまった。
そして七原は野球選手として大成功を収めていた。




「七原くん、すごいね。あと少しでトップの三村くんを抜きそうだよ」
「……それは愛の力だよ」
「え?」
照れながらも、ドサクサまぎれに愛の告白をしてしまった七原。
もっとも鈍感な美恵は全く気付いてなかったが。




しかし!!!!!




七原はミスを犯した。
そう、公衆の面前で美恵に愛の告白をしたこで、ある女の怒りを買ったのだ。
(……フフフ、いい度胸じゃないの七原くん。
あたしの目の前で美恵を口説こうなんて)




「ねえ七原くん、七原くんのキャラ随分疲れてるわ。
そろそろ引退時じゃないの?」
「え?」
確かに……もう40超えてるし。
「このままだと戦力外通知も時間の問題だわ。
ねえ、それより今のうちに第二の人生送らせてあげなさいよ」
「それもそうだな」
「手始めにマンション買ってやったら?お安くしておくわよ」
「安くって……どのくらいだよ?」
「都心、駅から10分。3LDK、本来なら8000万円だけど2000万」
「いいのか?ありがとう相馬!」
こうして七原は光子からマンションを買うことに……。




『シュウヤはミツコから2000万円の3LDKマンションを……』




「マンション買ったら監督でもしようかな~~♪」




『2000万円の3LDKマンションを100件購入しました』




!!!!!!!!!!←七原の心の叫び




「ひゃ、百件んんんーーーッッッ!!!!!!!!!!」
「フフフ」
「ど、どういう事だよ相馬!!!」
「あーら、誰も1件のみの物件とは言ってないでしょ。
ほら契約書にも100件って、書いてあるじゃない。
これであたしは20億の儲けね。 ありがとう七原くん♪」


……哀れ七原は最下位に転落してしまった。









「……恐るべし相馬。オレは引っ掛からないように気をつけよう」
印税で儲けまくった三村。
「千草は儲けてるとはいえオレの敵じゃないし、1番恐れていた月岡は全財産ドブに捨てた。
相馬は一気に追いついてきたが、まだオレの方が10億多い。
こうなったら、誰もオレには勝てない。
……これで美恵はオレのもの。ホテルを予約しておこうかな」
「面白くないな」
その時、りんとした冷たい声が響き渡った。
「何だよ桐山」
「おまえはオレを陥れて、自分は大勝負にでない。
そういうのを度胸がないというんだろうな」
「何だと?だったら勝負してやろうじゃないか。
勝負方法を言えよ」
「株だ」
「株か……よーし、人生ゲームを知り尽くしたオレがおまえにゲームの厳しさを教えてやるぜ!!」
三村は全財産30億を株につぎ込むことにした。
「バトロワ商事に全財産30億!!」
バトロワ商事は三村の経験上、もっとも信頼できる大企業だ。
これで三村の資産は倍増……




「な、なんだとぉぉーーー!!!!!」




TV画面にデカデカと表示されたものそれは……




『バトロワ商事破産。ミムラシンジは財産没収の上、20億の借金』




「……な、なんで?」
「三村、計画倒産と言う言葉を知っているかな?」
「……『計画倒産』?、それって倒産寸前の会社が、その情報隠して株売りさばいたり、他の会社と合併してから倒産して、その負債を押し付けるアレか?」
「ああ、このゲームには裏技があると聞いたことがある」
「ちょっと待て!!そんな裏技、オレは聞いた事ないぞ!!!」
「当然だな。ゲーム開発者が『世間にはまだバラしてない』と言っていた」
「……なんで、おまえがゲーム開発者を知ってるんだ?」
「簡単だ。このゲームの製作会社は、うちの下請だ。
理解してくれたかな?」
「……き、汚いぞ桐山ッ!!!!!」




「ねえ、じゃあ桐山くんがトップなの?」




「「「「「え?」」」」」
そう、全員三村に気を取られていた隙に、なんと桐山は株で巨万の富を得ていたのだ!!
「決まりだな。オレの勝ちだ」
「「「「「クッ……!」」」」」
もうダメだ!!!!!
誰もが桐山の優勝を確信した、その時ッ!!!!!




「キャァァァ~~ッッ!!!!!やったわ、ビンゴォォーー!!!!!
油田よ油田!!一気に億万長者よぉぉーーー!!!!!」





……シーン……




部屋中静まり返っていた。




「すごい!!すごいよヅキちゃん!!」
「ありがとう美恵ちゃん!」
「……お、おい…と、いうことは……」
三村はおそるおそる結果をみた。




1位・月岡彰
2位・桐山和雄
3位・相馬光子
4位・千草貴子
5位・杉村弘樹
6位・七原秋也
最下位・三村信史









「あら、アタシが優勝ね。じゃあ、アタシが美恵ちゃんとデートするわ♪」
「うん、どこにいこうかヅキちゃん」
「アタシにまかせて、今夜は、うちのお店で美恵ちゃんの為にパーティー開いてあげる」
「わぁー、嬉しい!!ヅキちゃん、ありがとう!!」
思わず月岡に抱きつく美恵。
「じゃあ、行きましょ。女同士でレッツゴーよ」
「うん!」
美恵と手をつなぎ内股で走り去る月岡を残った者たちは複雑な表情で見詰めた。




三村「……ちくしょう。よりにもよって天敵・月岡に恋人とられるなんて」
光子「……悔しい!!こんなことなら、七原くんをもっと上手く使ってやるんだった!!」
七原「……どの口で言えるんだよ。相馬のせいでオレ借金10億だぞ……」
貴子「……まあ、他の奴よりはマシと思って我慢するしかないわね」
杉村「……ああ、三村が優勝してたらと思うとゾッとする」
桐山「……静かにしてくれないか」




こうして美恵は女友達・ヅキと一晩中楽しいデートをしたのでした。
メデタシメデタシ




~END~